2002 Fiscal Year Annual Research Report
2価チタン試薬を用いたアセチレンカップリングによるベンゼン誘導体の合成
Project/Area Number |
01J11569
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 大輔 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アリールチタン / ピリジルチタン / ベンジルチタン / 2価チタン試薬 / アセチレン / ニトリル / プロパルギルブロミド / Alcyopterosin A |
Research Abstract |
昨年度の研究で我々は既に、アセチレン3分子と2価チタン試薬から直接的にアリールチタン化合物を選択的に合成する手法を報告している(JACS,2001,123,7925-7926)。 今年度の研究では、本反応をさらに展開し、アセチレン2分子とニトリルおよび2価チタン試薬からのピリジルチタンの直接的合成(JACS,2002,124,3518-3519)と、アセチレン3分子と2価チタン試薬からのベンジルチタンの直接的合成(JACS,2002,124,9682-9683)を達成した。 まず、ピリジルチタンの合成について詳細を述べる。アセチレン2分子と2価チタン試薬から発生するチタナシクロペンタジエンに対し、脱離基を有するアセチレン(スルホニルセチレン)を加えることにより上述のアリールチタンの合成を達成したが、その代わりに脱離基を有するニトリル(スルホニルニトリル)を反応させることにより、ピリジルチタンを直接的に得ることができた。本反応は位置選択的に進行し、ただ1種類のピリジルチタンを与えるものであり、有機合成上極めて有用であると考える。なお、本反応は、2つの異なる非対称アセチレンとニトリルの位置選択的なカップリングを達成した初めての例である。 次にベンジルチタンの合成について述べる。上記反応と同様にアセチレン2分子と2価チタン試薬からチタナシクロペンタジエンを発生させる。次に脱離基を有するアセチレンとしてプロパルギルブロミドを加えることにより、ベンジルチタンを得ることができた。ベンジル金属化合物を合成するのは必ずしも容易ではなく、それを簡便にかつ一挙に合成できる本反応は、有機合成上の様々な展開が期待できる。その一つとして、本反応を利用したAlcyopterosin Aの初めての全合成も同論文にて併せて報告している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Daisuke Suzuki: "Selective Syntheses of Metallated Pyridines from Two Different Unsymmetrical Acetylenes, a Nitrile, and a Titanium(II) Alkoxide"J. Am. Chem. Soc.. 124,14. 3518-3519 (2002)
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[Publications] Ryoichi Tanaka: "Selective Preparation of Benzyltitanium Compounds by the Metalative Reppe Reaction. Its Application to the First Synthesis of Alcyopterosin A"J. Am. Chem. Soc.. 124. 9682-9683 (2002)