2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属間化合物を強化相とするオーステナイト系耐熱鋼の相変態と組織形成
Project/Area Number |
01J11570
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 茜 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属間化合物 / オーステナイト系耐熱鋼 / 組織 / 相変態 / 透過型電子顕微鏡 / 格子ミスフィット |
Research Abstract |
本研究の目的は,使用温度においてフェライト系耐熱鋼(550℃以下)とNi基超合金(800℃以上)の間にあるオーステナイト系耐熱鋼を,従来の炭化物ではなく金属間化合物を利用して強化するための相変態と組織制御に関する基礎的な知見を得ることである.本年度は,そのモデルケースであるNi-V2元系および第3元素を添加した合金を用い,立方晶のNi-γ(fcc)母相中に微細整合に生成した正方晶のNi_3V-γ"(D0_<22>)化合物相の形態の熱的安定性を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて詳細に調べ,以下の3点を明らかにした. 1.γ→γ"変態により形成されるMulti-variant組織の時効に伴う崩壊機構 γ→γ"変態により形成されるMulti-variant組織は,{102)_<γ">と{100)_<γ">の2つの整合界面からなる四角柱状のmajor variantと,それらの間の2種類のchamelを埋める2つのminor variantからなる.このchannelにはγ→γ"変態に起因するひずみ場が存在する.高温で時効すると,このひずみ場に起因する空孔の移動が生じるため,variantが選択成長し,variantの数は3から2に減少する.また,variant領域の粗大化に伴いvariant界面にmisfit転位が導入され,界面の整合性は失われる. 2.Ni-γ相の導入によるMulti-variant組織の非整合化の抑制 余剰のNiを添加しminor variantの一部をNi-γ相で置換した合金を高温で時効すると,major variantの形態は四角柱状から粗大な板状に変化する.しかし,界面の整合性は長時間時効後も維持される.これは,γ/γ"2相間の格子ミスフィットが最小となるように晶癖面が回転することに起因する. 3.Ni-γ/Ni_3V-γ"2相整合組織の形態に及ぼす第3元素添加の効果 第3元素の添加により,γ"相の形態及びγ/γ"相間の晶癖面は変化する.TEMマイクロビーム法により両相の格子定数を直接測定し,両相間の格子ミスフィットをγ"相のa軸とc軸を区別して求めた(δ_a,δ_c).その結果,δ_aは負,δ_cは正の値を持つため2相間には不変線が存在し,それを含む面が晶癖面になること,また,この晶癖面は格子ミスフィットの比δ_c/δ_aに強く依存し,その値が-1に近づくと{110}_γ//{102_<γ">に近づくことを見出した.一方,γ"相の形態はδ_aの値によって決まり,δ_a<-0.2%の場合には不変線とa軸の2方向に成長した板状になるが,δ_aの値が0に近づくと,a軸方向にのみより成長した角柱状になることを明らかにした.
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Research Products
(12 results)
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[Publications] 鈴木 茜: "Transmission Electron Microscopy on the Phase Equilibria among β, α and α_2 Phases in Ti-Al Binary System"Intermetallics. 10・9. 915-924 (2002)
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[Publications] 鈴木 茜: "Multi-variant組織を有するNi_3Vの熱的安定性"日本学術振興会耐熱金属材料第123委員会研究報告. 43・2. 157-167 (2002)
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[Publications] 鈴木 茜: "Alloying Effect on Thermal Stability of Multi-variant Structure of Ni_3V at Elevated Temperatures"JOM. 55・2. 214-215 (2003)
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[Publications] 鈴木 茜: "A1→D0_<22> Transformation and Multi-variant Structure of Ni_3V"Abstracts for MRS 2002 Fall Meeting. 602 (2002)
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[Publications] 鈴木 茜: "Ni_3VのMulti-variant組織におけるvariantの選択成長にょる粗大化機構"第131回日本金属学会講演概要. 131. 160 (2002)
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[Publications] 鈴木 茜: "Ni-V合金におけるAl/D0_<22>2相整合組織の形態に及ぼす第3元素の効果"第132回日本金属学会講演概要. 132. (2003)
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[Publications] 竹山 雅夫: "Phase Equilibria and Structure Change in Quasibinary Ni_3Nb-Ni_3M Systems at Elevated Temperatures"JOM. 55・2. 392 (2003)
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[Publications] 竹山 雅夫: "Microstructure Evolution and Strengthening Mechanism of Wrought Ni-41Cr-7Al Alloy"Abstract for Advanced Materials and Processing for Gas Turbines. 8 (2002)
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[Publications] 小島 久育: "Ni-Nb-V3元系合金におけるD0_<22>化合物の析出形態"第131回日本金属学会講演概要. 131. 160 (2002)
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[Publications] 小島 久育: "Vを添加したNi基合金におけるNi_3(Nb, V)-γ"相のTEM観察"材料とプロセス. 15・6. 35 (2002)
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[Publications] 橋本 秀則: "極低温用NiCrAl合金の強化機構"材料とプロセス. 15・6. 34 (2002)
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[Publications] 橋本 秀則: "高Cr含有Ni基合金における非平衡Ni_3Al-γ'相の不連続析出"第131回日本金属学会講演概要. 131. 399 (2002)