2002 Fiscal Year Annual Research Report
ATP依存性プロテアーゼClpAPの1分子回転観察
Project/Area Number |
01J11572
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
島袋 勝弥 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 1分子 / ATP依存症 / 回転 |
Research Abstract |
本年度は,まず実験系の改良をおこなった.金粒子はタンパク質に非特異的に吸着するので実験が煩雑になっていた.金粒子の代わりに直径0.1μm-0.2μmのポリスチレン製のビーズを用いることにした.ポリスチレンビーズは金粒子に比べ扱いやすく,実験を簡便化することができた.またポリスチレンビーズの表面の官能基がアミノ基ではなくカルボキシル基のものを使うことでガラスへの非特異的な吸着も抑えることができた.さらに,光学系,記録装置の改良をおこなった.これにより記録時間が従来の系に比べ200倍以上にも延び,これまでの高時間分解能だが記録時間が短いという問題を克服することができた.さらに,記録する画素サイズの大きさを任意に変えることが可能になったので,データの容量も軽くすることができ,パソコン上での処理が容易になった.また本年度は,1分子観察系でのATPアナログの有用性を調べた.F_1ATPaseを材料にまずATP_γSの効果を調べ,これがATP同様に基質として働くことを1分子の回転で示した.しかも,ATP_γ-SはATPに比べ加水分解反応が著しく遅く起こるので,1分子で加水分解の過程を調べるのに非常に有用でみることを示すことができた.ATP_γ-Sの結果は,去年報告した加水分解が遅くなる変異体の結果と一致するものであった.ATPの結合と回転を1分子で同時に観察するために,蛍光ATPの1つであるCy3-EDA-ATPの作成を試みた.Cy3-EDA-ATPの2つの異性体を完全に分離するまでは至っていないが,作成したCy3-EDA-ATPを粗精製することができた.今後1分子観察への応用が期待できる.
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