2003 Fiscal Year Annual Research Report
ATP依存性プロテアーゼClpAPの1分子回転観察
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01J11572
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
島袋 勝弥 東京工業大学, 生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 1分子 / ATP依存性プロテアーゼ / 分子モーターたんぱく質 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度から継続してATP類似体の有用性について調べた。まずATP類似体の1つであるATPγSはATPに比べて50倍遅く加水分解されることを生化学的に明らかにした。F_1-ATPaseを用いた1分子回転観察でも、ATPγSはATPに比べて60倍遅く加水分解されることが分かり、生化学的な結果とほぼ一致した。次に別のATP類似体であるATPαSは、ATPに比べて3倍程度遅く加水分解されることも明らかになった。一般的に測定系を高速化するほど、得られる結果のシグナル-ノイズ比が低下し、正確な測定ができなくなる。ATPの類似体をもちいて、反応のある素過程を遅くすることで、測定系の高速化を避けることが可能になり、測定結果の精度が向上することが期待できる。実際、これらの類似体を用いることで、これまで高速で観察が難しかった現象を簡単に可視化することが可能になった。 分子モーターたんぱく質の性質を詳細に調べる有用な方法の1つに、外力を人工的に与え、タンパク質分子の動きを調べる実験がよく行われる。本年度はこの手法の有用性を検証すべく、タンパク質分子に外力を与える実験もおこなった。具体的には、回転分子のF_1に磁気ビーズを結合させておき、外部から磁場を人工的に与えてたんぱく質に外力を加え、たんぱく質の運動がどう変化するか検証した。この結果、F_1の回転の待ち時間が外力の大きさ、向きによって大きく変化するのが確認できた。磁気をもちいた系は回転する,タンパク質分子に有用であり、つまり回転モーターと予想されるClpAPへの応用も期待できる。ClpAとClpPのリング間の動きを外力で制御することで基質の分解速度等を制御できる可能性がある
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Research Products
(1 results)