2002 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子・タンパク質系ダイナミクスの非線形システム的理解
Project/Area Number |
01J60008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 康 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手
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Keywords | 非線形力学系 / ポピュレーション・ダイナミクス / ゲノム・タンパク質系ネットワーク / レプリケータ・ダイナミクス |
Research Abstract |
本研究の目的は、遺伝子および遺伝子によって生成されるタンパク質を構成要素としたネットワークを大自由度の非線形力学系として捉え、多変数の非線形ダイナミカル方程式で記述することによって、ネットワーク全体のダイナミクスを数理的にとらえることである。 現在、ゲノム科学とそれに関連する技術の発展によって、膨大な量の遺伝子情報(ゲノムシークエンス)が得られつつある。次に求められるのは、その情報から生命現象が発現する機構を理解し、さらに疾病の治療等にその情報を利用する手法を確立することである。 遺伝子から生成されるタンパク質の量は、当然、単に遺伝子情報から一意に決まるわけではなく、細胞内の他のタンパク質や細胞外から得られる分化因子等の化学的情報によって制御される。このことから、この系の振舞を理解するには、多数の遺伝子群がそれらによって生成されたタンパク質群を介して相互作用した大自由度な力学系としてこの系を捉える必要があると考えられる。 本年度においては、昨年度に引き続き、このゲノム・タンパク質系ネットワークのダイナミクスをタンパク質のポピュレーション・ダイナミクスとして単純化・抽象化し、遺伝子の発現は確率的に起きるとした数理モデルを構築した。このモデルを用い、数値シミュレーションを行って、ネットワークシステムのロバスト性と安定性を解析した。昨年度の研究成果をより大規模なネットワークに応用出来るようにさらにモデルを改良し、大規模な数値シミュレーションでそのネットワークの性質を解析した。また、ポピュレーション・ダイナミクスの基本的なモデルとしてレプリケータ・ダイナミクスを取り上げ、レプリケータ・ダイナミクスに変異を導入した系においてより複雑な振る舞いが見られる現象を発見し、数値計算を通してその振る舞いを解析した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Ikegami, K.Hashimoto: "Dynamical Systems Approach to Higher-level Heritability"Journal of Biological Physics. 28. 799-804 (2002)
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[Publications] T.Ikegami, T.Iwata, K.Hashimoto: "A Network of Dynamic Keystone Species"Artificial Life VIII : Proceeding of the Eighth International Conference on Artificial Life. 216-222 (2002)