2002 Fiscal Year Annual Research Report
抗癌剤誘導アポトーシスの感受性決定におけるAkt経路の役割とその分子機構解析
Project/Area Number |
01J60020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
六代 範 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Akt / FKHR / TRADD |
Research Abstract |
細胞は様々な刺激によってアポトーシスを引き起こすことが明らかにされている。抗癌剤により誘導されるアポトーシスを考えた際、抗癌剤は細胞の生と死のバランスを崩すことによりアポトーシスを引き起こすことが考えられる。そこで生存因子であるAktに着目して検討を行った。Akt/PKB/RAC-PKはIGF-Iなどの成長因子により活性化されるセリン・スレオニンキナーゼであり、アポトーシスのシグナル伝達を抑制することが知られている。 抗癌剤によってアポトーシスが誘導されてくる際に、生存因子であるAktのリン酸化が抑制されそのキナーゼ活性が減少することから、抗癌剤処理によるAktの活性減少と抗癌剤耐性との間に負の相関関係があることを示唆し、Aktの脱リン酸化が起きる細胞では、抗癌剤に対して感受性を示す事を見出した。また活性化型Aktを過剰発現させた細胞は抗癌剤エトポシドに対して耐性を示すことから、抗癌剤によるアポトーシスの誘導にはPI3K-Aktによる生存シグナルの伝達経路が深く関与することが明らかとなった。これらの結果から、Aktのリン酸化を指標にした試験管レベルで抗癌剤の抗腫瘍効果の予測が期待できる可能性を示した。 さらにAktの活性減少に伴うアポトーシスの促進機構を検討するために、マイクロアレイ法を用いてPI3K-Akt経路を抑制した際の遺伝子発現量の変化を検討した。その結果、TNF recepter associated proteinであるTRADDの発現が上昇することを見出した。さらにTRADDプロモーターの検討により、TRADDはAktにより負の制御を受ける転写因子FKHRにより転写されることを明らかにし、TRADD変異体を用いた検討により、抗癌痛剤によるAkt活性減少に伴うTRADDの発現上昇がアポトーシスの進行に大きな役割を果たすことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Rokudai, S., Fujita, N., Kitahara, O., Nakamura, Y., Tsuruo, T.: "Involvement of FKHR-Dependent TRADD Expression in Chemotherapeutic Drug-Induced Apoptosis"Molecular and Cellular Biology. 22. 8695-8708 (2002)