2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J60023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 豪 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員(DC-2)
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Keywords | AML1 / コンディショナルノックアウト |
Research Abstract |
AML1は、急性骨髄性白血病にみられるt(8;21)転座切断点より単離された遺伝子であり、広範な組織で発現がみられ、造血細胞・血管などの分化・増殖に重要な役割を果たしていると予想されていた。しかし、AML1欠損マウスは胎生期に致死的であるため、AML1の成体における機能解析は困難であった。そのため、Cre-LoxPのシステムを用いたコンディショナルノックアウトマウスを作製し、特定の組織でのみAML1遺伝子を欠損させ機能解析を行った。 血管内皮細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するTiel-Creトランスジェニックマウスと交配させることにより、血管内皮細胞特異的にAML1を欠損するマウスを作製し、解析を行った。このマウスは、正常に出生し、組織学的に血管などの異常を認めなかった。虚血に対する血管新生や腫瘍細胞による血管新生について実験を行ったが、血管新生能に変化はみられなかった。また、血管透過性について実験を行ったが、コントロールマウスと有意差は認めなかった。異常のように、血管内比細胞特異的にAML1を欠損させたマウスでも、血管形成、血管機能は正常であり、中枢神経系の出血がみられるAML1ノックアウトマウスとは対照的であった。このことから、AML1は血管内比細胞自身で必要不可欠な機能を果たしているわけではなく、AML1は造血細胞などを介して、間接的に血管形成の制御を行っていると考えられ、造血と血管形成の相互作用の存在が示唆された。
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