2002 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル応答に依存した核外移行の制御機構に関する研究
Project/Area Number |
01J60027
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田岡 洋 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レプトマイシンB / 蛋白質核外移行 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
Crm1は核外移行シグナル(NES)受容体であり、NESを持つ蛋白質を核から細胞質へ能動的に輸送する機能を持つ。Crm1の機能ドメインはN末端に核細胞質間輸送に重要な機能を持つRanとの結合領域が推測されているが、それ以外は不明である。私はCrm1蛋白質の機能ドメインの解析により蛋白質核外移行の分子機構を解明することを目的として研究を進めた。 抗腫瘍抗生物質レプトマイシンB(NES)はCrm1の529番目のシステイン残基に直接結合することにより蛋白質核外移行を特異的に阻害する。このシステイン残基がセリンに置換された変異Crm1はLMBと結合できないためLMB感受性を失うが、疎水性残基に富んだ典型的な核外移行シグナル(NES)の輸送活性は保持している。ところがこの変異Crm1は、システイン残基に富んだNESを持つストレス応答転写因子Pap1を特異的に輸送できず、核内に蓄積させるとともにPap1標的遺伝子の一つであるapt1^+の過剰発現を引き起こすことを見出した。Crm1の529番目のシステイン残基の周辺は種間で高度に保存されているためCrm1の機能に重要な領域であると予想し、この領域をCentral conserved region (CCR)と命名しいくつか点変異を導入したところ、予想通りLMB感受性は様々に変化した。さらに、種間で保存された疎水性残基を置換した株ではPap1NESのみならず典型的なNESに対する輸送活性も低下していた。以上より、Crm1のCCRは各種NESを認識する領域であることが示唆された。
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