2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J60028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑 直樹 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | IFN-α / β / IRF-3 / IRF-7 / リン酸化酵素 / 蛋白精製 / プロテオミクス解析 |
Research Abstract |
I型インターフェロン(IFN-α/β)は、ウイルス感染を受けた細胞から産生されるサイトカインであり、抗ウイルス作用、細胞増殖抑制作用、免疫調節作用といった種々の生理作用を標的細胞に誘導する。これまでに申請者はウイルス感染に伴って誘導されるIFN-α/βの産生には、IFN制御因子(IFN regulatory factor : IRF)に属するIRF-3とIRF-7が必須であることを見出した。一方で、これら二つの因子はウイルス感染特異的にリン酸化を受けて活性化されることが申請者の解析で明らかとなっていたが、リン酸化を司るリン酸化酵素の同定には至っていなかった。 そこで当該年申請者はIRF-3をリン酸化する酵素の同定を試み、ウイルス感染に対する生体の応答機構の解析を行った。まずin vitroでIRF-3蛋白をリン酸化させる系を樹立し、リン酸化酵素を蛋白精製から同定することを試みた。基質となるIRF-3蛋白にヒスチジンタグを融合させたキメラ蛋白を大腸菌に発現させ、それをニッケルカラムでアフィニティー精製し、得られた組み替え蛋白を用いてin vitroリン酸化反応の系を樹立した。また組み替えIRF3蛋白に対するリン酸化部位を検証する為に部位特異的なアミノ酸変異を導入し、この変異蛋白を用いてリン酸化部位を検討した。その結果、IRF-3組み替え蛋白がリン酸化を受ける部位は、内在性のIRF-3蛋白が細胞内でリン酸化を受ける部位と同様であることが強く示唆された。そこで、このin vitroリン酸化反応の系を用いてリン酸化酵素の精製を試みた。しかしながら分画した細胞粗抽出液を用いてアッセイを行うと、広範囲のフラクションでリン酸化活性が認められてしまい、分画の絞り込みができない結果になってしまった。 基質としてIRF-3蛋白全長に代えてリン酸化部位を含むペプチドを用いて検討を試みたが改善は認められなかった。そこで現在はアプローチを変更し、IRF-3に結合する分子をプロテオミクス解析から絞り込む方針から解析を進めている。
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