2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J60032
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
芳賀 恒基 東京農工大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 枯草菌 / 胞子形成 / 転写制御 / σ(シグマ)因子 |
Research Abstract |
日本の枯草菌共同研究グループが保有する網羅的遺伝子破壊株コレクションからのスクリーニングにより、胞子形成に関与することが見いだされた2つの遺伝子ykvV、ydiHについて、全遺伝子転写パターンへの遺伝子破壊による影響をDNAマイクロアレイによって解析し、胞子形成時に特異的に作用することが知られている転写調節因子群(SpooA、σ^H、σ^F、σ^E、σ^G、σ^K)との関連について調べた。その結果、ykvVは胞子形成の後期に発現する遺伝子、特にσ^Kによって転写される遺伝子群の発現に関与していることが分かった。またさらなる解析によってykvV自身はσ^Eによって転写されることが分かった。ydiHはエネルギー代謝に関与するいくつかの遺伝子の転写に関与していることが分かり、細胞内のエネルギーレベルに呼応した、SpooAの活性化による胞子形成開始のシグナリングに関与していることが示唆された。 またσ^Fの過剰発現よって転写の上昇が検出された機能未知遺伝子群の破壊株を作製し、胞子形成への影響を調べたところ、破壊したいずれの遺伝子も胞子形成率への影響が見られなかったことから、これらの遺伝子は胞子形成に補助的な役割を果たしているか、相補的な機能を持つ別の遺伝子が存在する可能性が考えられた。 さらに前年度行ったσ^F及びσ^Kの過剰発現株を用いたマイクロアレイ解析に引き続き、埼玉大学の研究グループとの共同研究で、σ^Eの過剰発現を用いてその制御下にある遺伝子を探索した結果ykvVを含む多数の機能未知遺伝子の転写上昇が検出された。現在これらの結果を生物学的な有意性を検証中である。
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