2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌の発生・進展におけるASK1-MAPキナーゼ系シグナル伝達異常の解析
Project/Area Number |
01J60036
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中尾 かおる (三枝 かおる) 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 発癌 / ASK1 / MAPK系 / アポトーシス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
ASK1-MAPキナーゼ系のシグナル伝達異常と癌化との関連性を調べるため、ASK1ノックアウトマウスを用いて二段階発癌実験を行った。野生型(+/+),ホモ型(-/-)雌11匹を用いて、7週齢こてDMBA(100ug)を背部に塗布してイニシエーションを行い、8週齢から、TPA(10ug)を週2回、25週間塗布し続け、プロモーションを行った。プロモーション15週目において、野生型(+/+)マウスでは腫瘍の発生が認められたが、ASK1ノックアウトマウスでは,19週目から腫瘍の発生が認められ、野生型(+/+)マウスより発生が遅れていた。またプロモーション25週目において、野生型における腫瘍の発生率は約80%であったのに対して、ASK1ノックアウトマウスでは、約40%であった。また腫瘍の一匹あたりの腫瘍の個数は野生型(+/+)マウスでの2.5個に比較して、ASK1ノックアウトマウスでは、1.5個と減少していた。さらに、腫瘍の大きさは、ASK1ノックアウトマウスでは、野生型に比べて約2/1から3/1程度であった。以上の結果からASK1はTPAによる腫瘍の発生、進行、成長に大きく関与していることが示唆された。また、in vitroにおいて野生型(+/+)マウスの皮膚角化細胞ではTPA(10uM)処理によるASK1の活性化や下流のp38,JNKの活性化が認められた。組織学的検索を行った結果、腫瘍の形態は野生型(+/+)マウス、ASK1ノックアウトマウスともに乳頭腫であった。これらの結果から、TPAによる皮膚での腫瘍の発生にASK1の活性化が影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)