2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌の発生・進展におけるASK1-MAPキナーゼ系シグナル伝達異常の解析
Project/Area Number |
01J60036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 かおる (三枝 かおる) 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発癌 / ASK1 / MAPK系 / アポトーシス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
ASK1は、活性酸素やNOなどのストレス刺激に応答し、下流のJNK及びp38両経路を活性化するMAPKKKである。昨年度の報告書において、ASK1ノックアウトマウスを用いたDMBA-TPAによる皮膚二段階発癌実験の結果を報告した。ASK1ノックアウトマウスでは、野生型(+/+)マウスより腫瘍の発生が遅れており、腫瘍の発生率や、腫瘍の一匹あたりの腫瘍の個数、および腫瘍の大きさ、いずれにおいても、野生型に比べて減少していたことから、ASK1はTPAによる腫瘍の発生、進行、成長に大きく関与していることが示唆された。そこで、今年度はTPA処理が皮膚の腫瘍の発生および肥厚、炎症性細胞浸潤にASK1が影響を及ぼしている可能性を検討するため、野生型(+/+)マウス,ASK1ノックアウトマウス雌を用いて、TPA(10μg)を単独塗布し、24時間、48時間、72時間後の組織学的検索を行った。その結果、ASK1ノックアウトマウスでは、TPAによる表皮の肥厚には野生型と差は認められなかったが、真皮における炎症性細胞浸潤の程度が、野生型と比較していずれの時間においても減少していた。またin vitroの実験系において、野生型(+/+)マウス脾細胞ではTPA(1μM)処理によるASK1の活性化や下流のp38,JNKの活性化が認められたのに対し、ASK1ノックアウトマウスでは下流のシグナルの活性化が減弱していた。以上の結果からASK1はTPA処理による炎症性細胞の活性化や浸潤に影響を与え、その結果生ずる皮膚腫瘍の発生に大きく関与していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)