2002 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカツメガエル卵を用いたテロメレースの生化学的研究
Project/Area Number |
01J60037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 敦哉 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | テロメア / テロメレース / アフリカツメガエル / 卵抽出液 / 核 / 細胞周期 / TRF1 / クロマチン |
Research Abstract |
テロメアDNAはTTAGGGの繰り返し配列から構成されており、その最末端部分はグアニンに富む鎖(G鎖)が3'突出した約50-200塩基の一本鎖DNAとして存在する。テロメレースのテロメアへの結合能は、このG鎖の突出をはじめとしたテロメア構造の変化によって制御されていると考えられているが、その詳細については未だ不明な点が多い。そこでアフリカツメガエル卵抽出液を用いることにより、細胞周期の進行に伴うテロメア構造の変化について解析を試みた。 まず二本鎖テロメアDNA結合因子として知られるTRF1のアフリカツメガエルホモログ(xTRF1)を新規に同定した。xTRF1は、hTRF1と同様に、高度に保存されたTRFHドメイン及びMybドメインを持ち、二量体を形成することでテロメア繰り返し配列に直接結合した。次にアフリカツメガエル未受精卵から調製したCSF(cytostatic factor)extractsを用いて、細胞周期の進行に伴うxTRF1の動態について解析を行った。精子DNAを分裂期及びS期の卵抽出液に加えることによりクロマチンを形成させ、結合しているxTRF1の量について比較したところ、分裂期のクロマチンにはxTRF1のシグナルが検出されたのに対し、S期のクロマチンではその結合量が大きく減少していることが判明した。さらに、S期の抽出液に非分解型のサイクリンBを加えて、分裂期への移行を誘導したところ、xTRF1は再びクロマチンに結合した。これは、xTRF1のクロマチン結合能が分裂期特異的に安定化されることを示しており、テロメレースによるテロメアの伸張がTRF1の結合・解離を介して、細胞周期依存的に制御されていることが示唆された。
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