2002 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病の発がん分子機構解明と診断、治療への応用
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01J60051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野坂 生郷 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ATL / Methylation / MCARDA / Integration site / hypercalcemia / RANKL |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-I感染により発症する悪性腫瘍であるが、発症まで平均60年という長い期間の潜伏期を有し、その詳細な発症機序は今もなお不明である。現在、ATLの発症機序のメカニズムの解析をDNAメチル化による制御、およびHTLV-Iの組み込み部位を中心に行っている。まずMethylated CpG island Amplification/Representational Difference Analysis(MCARDA)法を用いて病期の異なるサンプルを用いることにより、病期進行に伴い高メチル化、低メチル化される遺伝子をスクリーニングした。いくつかの候補遺伝子に関してはその発現ベクターをATL細胞株に組み込むことにより、候補遺伝子による増殖、アポトーシスへの影響を検討している。 さらにATLにおけるHTLV-Iの組み込み部位に関する知見はランダムな組み込み等の報告がなされているが、多数症例での検討は未だされていない。現在、ATLにおけるHTLV-I provirusの組み込み部位がどのような分布になっているかを解析している。ATL症例DNAをInverse-Long PCR法を用いて増幅し、解析したところプロウイルスの組込みの部位はランダムであり、そのうち半数以上がTranscriptional Unitに存在した。このことからHTLV-Iプロウイルスの組み込みは転写単位というクロマチン構造がオープンな部分に起こりやすいことが示唆された。 またATLの特徴的症状のひとつである高Ca血症はRANK-RANKL経路を経て破骨細胞の分化誘導がおこることによって発症する。RANKL発現ベクターをトランスフェクションしRANKL発現ATL細胞株を樹立した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nosaka K: "Mechanism of hypercalcemia in adult T-cell leukemia : Overexpression of RANK ligand on adult T-cell leukemia"Blood. 99. 634-640 (2002)
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[Publications] 野坂生郷: "ATLにおける高Ca血症の発生機序に関する最近の知見"血液・腫瘍科. 45. 349-355 (2002)