2003 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病の発がん分子機構解明と診断、治療への応用
Project/Area Number |
01J60051
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野坂 生郷 京都大学, ウイルス研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | Adult T-cell leukemia / DNA methylation / MEL1S / Transplantation / ELISPOT |
Research Abstract |
成人T細胞白血病(ATL)はHTLV-1感染により長い潜伏期間を経て起こる予後不良の疾患である。しかし発症までの発症機序には不明な部分が残されており、その治療法も未だ確立されていない。まず発症機序に関してDNAのメチル化に焦点をあてて研究を進めた。我々はMCA/RDA法を用いて同一症例の病期の異なるサンプルを用いることにより、病期進行における低メチル化される遺伝子をスクリーニングし、いくつか候補遺伝子を発見した。そのうちのMEL1という遺伝子はPRドメインを持つMEL1Lと持たないMEL1Sという遺伝子が存在しており、ATLを発症しているサンプルやHTLV-I感染細胞ではMEL1Sのプロモーター領域が低メチル化状態であり、MEL1S蛋白を発現していた。一方、正常T細胞ではMEL1Sの発現は認めず、プロモーター領域はメチル化されていた。またMEL1S遺伝子を導入した細胞において,TGF-βの増殖抑制に対して抵抗性を獲得することを明らかにした。 またATLの新しい治療法の一つとして最近、同種造血幹細胞移植が注目されている。我々は造血幹細胞移植の抗ATL効果の機序を検討するために平成15年4月より国立がんセンター中央病院幹細胞移植科と共同研究を行い、非破壊的同種造血管細胞移植後におけるATL細胞、特にTaxに対する免疫反応を検討している。ELISPOT法を用いて長期生存例において解析を進めているが、移植後ドナー細胞においてTaxに対する免疫反応を示すIFNγの産生を認めた。現在、解析数の増やすと共に、その機能解析を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takeda S: "Genetic and epigenetic inactivation of tax gene in adult T-cell leukemia cells."International Journal of Cancer. 109. 559-567 (2004)
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[Publications] Yoshida M: "Aberrantexpression of the MEL1S gene identified in association with hypomethylation in adult T-cell leukemia cells."Blood. (in press).