2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J60054
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 晶絵 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 変態 / カタユウレイボヤ / 幼生 / 遺伝子発現 / 幼若体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ホヤ類の変態開始に関わる遺伝子とそのメカニズムを明らかにすることである。本研究では、ホヤ類の変態過程に関わる遺伝子として、カタユウレイボヤの幼生期から尾部吸収後にかけて発現量が増加する遺伝子のクローンおよび発現量が減少する遺伝子のクローンを単離して解析を行ってきた。これまでの研究では、発現量が増加する遺伝子の解析を中心に行い、また発現量が減少する遺伝子については、Ciona cDNA projectのデータベースを用いて解析を行ってきた。本年度は、発現量が減少する遺伝子について、さらに引き続き解析を行った。 遊泳幼生期から尾部吸収後にかけて発現量が減少する遺伝子のクローンは219クローン得られた。両端塩基配列を決定してクラスターに分類したところ53の独立クラスターに分けられた。これらのクラスターは、尾部組織で発現するクラスター群、細胞外マトリックスに関わる遺伝子やドメインをコードするクラスター群、既知の遺伝子に相同性のないクラスター群に大別することができた。 尾部組織で発現するクラスター群には、尾部筋肉を構成するmyosin heavy chainやトロポミオシンなどが多く含まれていた。幼生の尾部組織は変態開始後に体幹部に吸収され成体組織の形成には寄与しないことから、尾部組織で発現するクラスター群は予想どおりの結果であった。細胞外マトリックスに関わる遺伝子やドメインをコードするクラスター群には、typeI Vcollagenなどが含まれており、変態過程では細胞外基質や表皮などを含めた全体的な形態の再構築が行われることが示唆された。既知の遺伝子に相同性のないクラスター群の中には、発現量の変化が顕著で特徴的な発現パターンを示すクローンのクラスターが含まれており、これらは今後の解析が期待される。 本研究は今後のカタユウレイボヤの変態機構の解明と発展に対し、発現遺伝子の重要な基礎情報を提供する。
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Research Products
(1 results)