2002 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質立体構造の比較による、スーパーフォールドからの構造決定因子の抽出
Project/Area Number |
01J60055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小池 亮太郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンパク質配列比較 / タンパク質立体構造比較 / 確率的アライメント / 周期境界条件 / 円順列変異 |
Research Abstract |
タンパク質の配列あるいは構造を比較し、その残基間の対応関係であるアライメントを構築する自動化された方法は大量の配列・構造情報からタンパク質の特徴を抽出する最も基本的な方法である。この配列あるいは構造比較法において固有の問題として準最適な多数のアライメントの存在があげられる。我々は、この準最適アライメントを系統的に扱う方法として確率的アライメントを構築する方法を開発してきた。また、周期境界条件を導入し、エントロピーのバイアスのない確率的アライメントを構築する方法を作成してきた。本年度は、これまでの構造情報の比較による確率的アライメントだけでなく、新たに配列情報に基づく比較においてもエントロピーのバイアスのない確率的アライメントを構築する方法を開発した。 この方法をスーパーフォールドであるTIM-barrel foldとTrefoil foldをとるタンパク質に適用し、これらの特徴抽出を行った。TIM-barrel foldをとるタンパク質としてはmuconate lactonizing enzymeとdihydroorotate dehydrogenase Aを用い、その配列と構造を比較した。これらのタンパク質間では円順列変異が起こったことが知られている。従来のエントロピーのバイアスのある方法ではこの円順列変異を示す対応関係は得られなかったが、周期境界条件を用いた本方法では正しく検出できた。また、Trefoil foldをとるタンパク質としてはxylan binding domainとcystein-rich domain of mannose receptorを用い、その配列と構造も比較した。最も確率的に確からしい対応関係は配列と構造で一致し、この2つのタンパク質間で円順列変異があったことを示した。さらに、この2つのタンパク質の配列と構造をそれぞれ自分自身と比較した。その結果、この2つでは配列と構造での対称性の程度が異なること、そしてこの対称性の差がリガンドの結合様式でのそれとよく相関している事が分かった。
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Research Products
(1 results)