2002 Fiscal Year Annual Research Report
小脳プルキンエ細胞における活動依存性のmGluR1局在・活性の変化
Project/Area Number |
01J60057
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 一成 京都大学, 大学院・理学研究科・特別研究員 DC2
|
Keywords | mGluR1 / Homer1a / MAPキナーゼ / 小脳 / シナプス可塑性 |
Research Abstract |
本研究ではマウスの小脳培養細胞系において、代謝型グルタミン酸受容体1型(mGluR1)活性の神経活動による持続的変化とその結合分子であるHomer1aについて研究を行った。 培養小脳プルキンエ細胞におけるmGluR1の活性を、細胞内カルシウムイメージング法およびホールセルパッチクランプ法により測定した。mGluR1活性化によるカルシウム応答と電流応答が、培養プルキンエ細胞の脱分極によって数時間にわたり増強することを見出した。このmGluR1応答の長期増強を引き起こす分子機構を明らかにするため、培養プルキンエ細胞におけるmGluR1の細胞内局在変化を細胞外ドメインに対する抗体を用いた免疫染色法によって調べた。その結果、プルキンエ細胞の脱分極によって、mGluR1の細胞表面から細胞内への取り込みが減少し、細胞表面のmGluR1数が増加することがわかった。次にmGluR1の局在変化を引き起こす機構を解析した。Homer1aのmRNA量が脱分極によって数時間にわたり増加すること、またmGluR1とHomer1aをHEK293細胞で共発現させると、mGluR1のみを発現させた場合に比べ、mGluR1の細胞表面から細胞内への取り込みが減少することがわかった。さらに、脱分極により引き起こされるHomer1aのmRNA発現量増加とmGluR1の細胞内局在の変化そしてmGluR1を介するカルシウム応答の増強すべてがMAPキナーゼ活性に依存していることも判明した。 以上の結果は、プルキンエ細胞の脱分極によりMAPキナーゼ活性依存的にHomer1aが増加し、それがmGluR1の細胞膜から細胞内への取り込みを抑えることによって、細胞表面のmGluR1数が増加して、mGluR1応答の長期増強が起こることを示唆している。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Itsunari Minami, Mineko Kengaku, Peter Sillevis Smitt, Ryuichi Shigemoto, Tomoo Hirano: "Long-term potentiation of mGluR1 activity by depolarization-induced Homer1a in cerebellar Purkinje neurons"European Journal of Neuroscience. (in press).