2002 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌における2成分シグナル伝達系ネットワークの解析
Project/Area Number |
01J60070
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
石川 周 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助手
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Keywords | 枯草菌 / 2成分制御系 / phosphatase |
Research Abstract |
枯草菌では11種の2成分制御系調節蛋白質(Response Regulator Aspartate Phosphatase、Rap)の脱リン酸化酵素RapA〜RapKの存在が知られているが、大部分のものについて、特異的な機能は明らかになってない。 前年度では、酵母2ハイブリッド法を用いて枯草菌のゲノムライブラリーから脱リン酸化酵素と相互作用をする蛋白質をスクリーニングし、Rapと相互作用する蛋白質を同定することができた。その中には、予想していたように2成分制御系調節蛋白質や脱リン酸化酵素を特異的に阻害するペプチドなども検出することができた。しかし、脱リン酸化酵素RapAと2成分制御系調節蛋白質SpoOFの既知の相互作用を検出することができなかったこと、数個のbaitに関しては2成分制御系調節蛋白質との相互作用が見られなかったことなど、問題点が残った。 今年度では、これらの問題点を解決するために、全てのRapと全ての2成分制御系調節蛋白質との相互作用を検証した。その結果、全ての既知の相互作用(RapA-SpoOF、RapB-SpoOF)と予測されていた相互作用(RapE-SpoOF、RapC-ComA、RapF-ComA)、さらに未知の相互作用(RapG-SpoOF&ComA、RapH-ComA、RapJ-SpoOF)が確認できた。おどろくことに、35種類ある2成分制御系調節蛋白質のうちRapと相互作用するのは、SpoOFとComAだけであることがわかった。さらに、前年度のゲノムライブラリーからのスクリーニング結果を合わせると、ComAがRapと相互作用する領域が、リン酸化されるrecievorドメインではなく、DNA結合ドメインであるということもわかった。 また、ComAをDNA binding domainとリン酸化されるreceiver domainと全てのRapとの相互作用を酵母2ハイブリッド法で確認したところ、ComAは前述したRapのDNA binding domainとのみ相互作用することを確認した。このことは、SpoOFには脱リン酸化を通して2成分制御系をコントロールしているが、ComAに関してはDNA結合を阻害することにより2成分制御系をコントロールしているという新しい事実を示唆している。
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