2002 Fiscal Year Annual Research Report
緑茶ポリフェノール成分によるウイルスの発癌予防に関する研究
Project/Area Number |
01J60079
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
園田 純一郎 鹿児島大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | HTLV-1無症候性キャリア / 緑茶カプセル / HTLV-1プロウイルス / HLA遺伝子多型 |
Research Abstract |
【研究目的】緑茶摂取によるATL発症予防効果を検討するため、HTLV-1キャリアを対象にHTLV-1プロウイルス量を指標とした緑茶カプセル服用介入試験を行なった結果、服用5ヶ月後のHTLV-1プロウイルス量が有意に減少していたことを昨年度報告した。本研究は緑茶カプセル服用効果の認められたHTLV-1キャリアの遺伝背景を解析するために末梢血中HTLV-1プロウイルス量とHLA遺伝子多型との相関を解析した。 【実験方法】HTLV-1プロウイルス量は、83名のHTLV-1キャリアの末梢血から単核球を分離しグアニジン塩酸法でDNAを抽出し検体とした。DNA濃度を調製後、HTLV-1 pXおよびβ-globinに特異的な2種類の蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブを用いたリアルタイム遺伝子定量装置(LightCycler)により測定した。HLA class I (HLA-A, HLA-Cw, HLA-B)タイピングはPCR-SSO法、HLA class II (HLA-DRB1, HLA-DQB1)タイピングはPCR-ELPHA法とPCR-RFLP法を用いて同定した。 【結果】83名のHTLV-1キャリアのプロウイルス量を5ヶ月間経時的に測定した結果、高値変動群と低値安定群の2群が認められた。高値群では20〜300コピー/1000リンパ球の範囲で経時変動がみられた。低値群は経時変動はなく安定に推移した。HLA遺伝子多型との相関ではプロウイルス量の高値群でATL関連HLA-DRB1アレル(DRB1*0403, DRB1*0406, DRB1*0901, DRB1*1101, DRB1*1302, DRB1*1401, DRB1*1406, DRB1*1501)が高頻度にみられ、HTLV-1 Gag/Envに対するCD4+T細胞の免疫応答が低いことが示された。一方、低値群ではHAM関連HLA-DRB1アレル(DRB1*0101, DRB1*0405, DRB1*0410, DRB1*0803, DRB1*1403, DRB1*1502)がみられ、HTLV-1Gag/Envに対するCD4+T細胞の免疫応答が高いことが示された。 【考察】HTLV-1プロウイルス量の高い群のHLA遺伝子型は、HTLV-1Gag/Env抗原に対し低免疫応答のHLA-DRB1遺伝子を保有していることが明らかになった。ATL患者はこのHTLV-1プロウイルス量の高い群のHTLV-1キャリアから発症してくる可能性が示唆された。さらに、緑茶カプセル服用によりATL発症要因であるHTLV-1プロウイルス量を減少することは、ATLの発症予防および遅延させる可能性が示唆された。 なお、昨年度報告した緑茶カプセル服用介入試験とあわせて、現在論文作成中である。
|