2002 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの老化機構におけるストレス応答遺伝子の役割
Project/Area Number |
01J60084
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
津田 学 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 老化機構 / アポトーシス / JNK経路 / 形質転換個体 / TNFα / キイロショウジョウバエ |
Research Abstract |
ショウジョウバエPOSH遺伝子はその強制発現によりショウジョウバエ個体の寿命延長作用を持つ事が知られている。一方、POSHの過剰発現により様々な形態異常が生じる。これまで、遺伝学的な実験によりPOSHの過剰発現がJNK経路の活性化を引き起こす事が示されている。そこで本研究ではPOSHのJNK経路における作用機構を解析した。 Yeast two-hybridシステムによりPOSHと相互作用を示すタンパク質の候補としてALG-2が挙げられた。マウス培養細胞においてALG-2はSH3ドメインに親和性を持つAIP1タンパク質とカルシウム依存的に直接結合しアポトーシスを誘導する事が知られている。しかしながら、その作用機構やJNK経路への関与などは明らかになっていない。そこで、まずはじめにショウジョウバエ胚由来のmRNAよりRT-PCRを用いてALG-2、およびAIP1 cDNAを単離した。ALG-2とAIP1遺伝子のアミノ酸配列を、マウスにおけるそれぞれの対応物のそれと比較した結果、両遺伝子ともに高度に保存されていることが明らかになった。また、生化学的な実験によりPOSH、ALG-2、およびAIP1が複合体と形成している可能性が示唆された。次に、これら遺伝子の強制発現個体を作製し、ALG-2、AIP1をそれぞれ複眼で強制発現することによりPOSHの強制発現同様に複眼形態形成の異常や細胞死が引き起こされることが分かった。また、ALG-2、AIP1の過剰発現によりJNK経路が活性化することが明らかになった。さらにショウジョウバエTNFαホモログであるeiger遺伝子との遺伝学的相互作用を調べたところ、POSH、ALG-2、およびAIP1がEigerシグナル経路を正に調節していることが示唆された。
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