2003 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子の発現調節プロモーター領域のSNPsの探索
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01J60087
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
与五沢 真吾 京都府立医科大学, 医学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / p16 / p14 / p15 / PTEN / SNPs / プロモーター / 分子標的化学予防 |
Research Abstract |
本研究では発癌リスクを高めることにつながるSNPsを同定し、テーラーメイドの分子標的化学予防を可能にすることを目標として、癌抑制遺伝子プロモーター中のSNPに着目して探索を行ってきた。これまでに癌抑制に関わるp16で3つ、p14で3つ、p15で3つ、PTENで1つのSNPを各遺伝子プロモーター中に見出し、これらのSNPがそれぞれのプロモーター活性に及ぼす影響を検討した。特にp16遺伝子においては4箇所中3箇所のSNPsがプロモーター活性を持つ-798〜-3017領域中に見出され、そのうちのSNPの一つについては、健常人(n=19)で31.6%がvariantなのに対し、食道がん患者(n=19)においてはその割合が68.4%と高率になるという結果が得られ、このSNPが発癌リスクを高めている可能性が考えられた。プロモーター中のSNPは遺伝子中のSNPとの異なり、遺伝子発現量の調節に影響を及ぼすだけで、遺伝子産物そのものの機能は保持されていると考えられるため、遺伝子の発現量を正常レベルに戻すことができれば、SNP保持者でも発癌リスクを下げることができる。このようなリスク軽減に有用と考えられる食品成分について探索を行い、p16遺伝子について、柑橘類に含まれるノビレチンとβ-クリプトキサンチンがp16遺伝子の発現をmRNAレベルで約3倍程度上昇させることを見出した。また癌抑制遺伝子p53の下流経路に位置し、癌細胞を短時間でアポトーシスさせるPUMA遺伝子プロモーターについても癌予防・治療に重要な意味を持つと考え、既報告よりさらに上流領域で新たなプロモーター活性をもつ領域を見出した。現在も解析中であるが、この領域を介してPUMA遺伝子がp53非依存的に調節されている可能性もあり、半分以上の癌でp53が失活しているとからも有効な癌治療・予防の標的となりうるのではないかと期待している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hoyoku Nishino, et al.: "Carotenoids in cancer chemoprevention"Cancer Metastasis Rev.. 21(3-4). 257-264 (2002)
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[Publications] 与五沢真吾, 西野輔翼, 酒井敏行: "ヒトの癌化学予防研究への応用"がん分子標的治療. 2(2)(印刷中). (2004)