2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J60093
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
肥田 宗友 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ヒト / チンパンジー / 完全長cDNAライブラリー / カニクイザル / 遺伝子 / mRNA / 遺伝子発現 / 比較解析 |
Research Abstract |
本年までにオリゴキャッピング法を利用して、カニクイザルとチンパンジーの脳(脳幹、延髄、前頭葉、後頭葉、側頭葉、小脳)、皮膚・皮下組織、精巣、肝臓、腎臓、心臓、精管組織などの各組織片から完全長cDNAライブラリーを作製した。ライブラリーからのシークエンシングは、カニクイザルについては国立感染症研究所遺伝子資源室、チンパンジーについては東京大学大学院新領域創成科学人類進化システムで行ってきた。 現在までにカニクイザルで約5,000、チンパンジーで約4,000の遺伝子のmRNA配列が得られている。それらの配列を利用したmRNA5'側領域の比較解析の結果、KA/KS比が1を超えるような非同義置換速度の早い遺伝子がいくつかみられた。また、遺伝子の機能に基づいた統計的解析を行ったところ、発生で働く遺伝子群が予想に反して配列の保存度が低いことが分かった。 遺伝子の発現機構を知るために必要なmRNAの5'側上流(プロモーター領域と考えられる)領域の配列を得るための予備実験として、ヒト遺伝子の5'側領域のプライマーセットを用いてPCRにより配列を得た。得られた配列を比較解析したところ非常によく保存されていることが分かった。PCRによって産物が得られなかった遺伝子についてはインバースPCR法を利用して配列を得ようとしたが予想以上に困難であった。今後は、mRNAの5'側上流を得るための手法の確立が必要となる。ただし、チンパンジーにおいては、公開されたチンパンジーゲノム配列情報を利用してmRNAの5'側上流配列を多くの遺伝子で得ることが可能となり発現に基づいた比較解析が行えるだろう。
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