2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J60099
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
岩崎 正幸 財団法人癌研究会, 癌研究所・発がん研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 骨髄性白血病 / NUP98-HOXA9 / retrovirus / BXH2マウス / common integration site / inverse PCR |
Research Abstract |
キメラ遺伝子NUP98-HOXA9は、t(7;11)(p15;p15)転座を有するヒト骨髄性白血病において形成される。我々はNUP98-HOXA9を骨髄細胞に限局して発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、1年以上の潜伏期間の後、一部に骨髄性白血病の発症を認めた。白血病を発症していないTgマウスにおいても野生型に比べ、未分化顆粒球系細胞のG-CSFへの応答性が顕著に増強していると共に、自己複製能も亢進していた。このことから、TgマウスはNUP98-HOXA9の発現により未分化顆粒球系細胞が細胞増殖しやすい状態になり、さらにNUP98-HOXA9と協調作用を示す遺伝子変化が加わることで白血病を発症するものと考えられた。そこで、retrovirusの感染により骨髄性白血病を発症するBXH2マウスとNUP98-HOXA9Tgマウスを交配し、白血病発症の差を調べNUP98-HOXA9に協調的に働く遺伝子変化を調べた。NUP98-HOXA9 transgeneを導入したBXH2マウスは白血病発症までの潜伏期間が有意に短縮し、NUP98-HOXA9の発現がBXH2マウスの白血病化を促進することが明らかとなり、BXH2マウスのretroviral integration siteの中にNUP98-HOXA9と共同して働く遺伝子が存在することが示唆された。inverse PCR法とSouthern blot法を用いてcommon integration siteのcloningを行い、NUP98-HOXA9と共同して働く候補遺伝子を同定した。その中には、HOXの共役因子として知られているMeis1遺伝子が同定されており、当実験システムの妥当性が証明された。新規にDynein light chainをコードするDnalc4,Fcgr2b, Fcrl, Bl526426,Fgd3,Al854024を同定することができたが、特にFcgr2bはヒト血液腫瘍をはじめとする様々な腫瘍でも異常が報告され、Dyneinはp53,bcl-2 family, β-cateninとinteractすることが報告されており、腫瘍化の修飾機構として興味深い。現在、これらの遺伝子がNUP98-HOXA9とin vitroおよびin vivoにおいて協調作用を示すことを確認中である。
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