2003 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエdMLF遺伝子の関与する新規アポトーシスシグナル伝達系の解析
Project/Area Number |
01J60102
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
大野 勝人 愛知県がんセンター, 研究所・遺伝子医療研究部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アポトーシス / ポリグルタミン病 / 凝集体形成 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
私は、ヒトの骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病の原因遺伝子myelodysplasia/myeloid leukemia factor 1(hMLF1)のショウジョウバエホモログdMLF遺伝子産物が、ショウジョウバエのアポトーシス誘導因子reaper、hid、grimの関与するアポトーシス誘導機構において抑制的に働く因子であることを見いだしているが、更にこのdMLFが、神経変性疾患であるポリグルタミン病の要因とされる異常伸長ポリグルタミン鎖(polyQ)を持つペプチドを複眼原基で高発現させるポリグルタミン病のショウジョウバエモデルにおいて、その神経変性症状を顕著に抑制することを見いだした。そして、三齢幼虫の複眼原基におけるpolyQの凝集体形成を調べた結果、dMLFの共発現によりpolyQの核内凝集体形成が著しく減少していることを見いだした。 polyQによる神経細胞死は、polyQの核内凝集体形成によって誘導されることがわかっていることから、dMLFがpolyQの凝集体形成そのものを抑制することにより神経細胞死を抑制することが示唆された。このことはまた、dMLFがアポトーシスのみならずその他の細胞死をも抑制する重要な細胞死抑制因子であると考えられる。現在、dMLFが細胞死抑制のどの段階で作用しうるかについて検討を行っている。また、dMLF相互作用因子dMIP3のdMLFの神経細胞死抑制機構への関与についても検討を行ったが、現在のところそれを積極的に支持する結果は得られていない。
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