2003 Fiscal Year Annual Research Report
海洋における微細鞭毛虫類による生元素環境の促進に関する研究
Project/Area Number |
01J72502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 秀樹 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 微細鞭毛虫類 / コロイド粒子 / 溶存有機物 / 凝集モデル / 沈降粒子 |
Research Abstract |
本研究は海水中の微細鞭毛虫類によるコロイド粒子の生成量及び除去量を明らかにし、地球化学的な有機物の循環に対する微細鞭毛虫類の寄与を明らかにすることを目的としている。本年は昨年度の研究航海で得られた結果の追加検討を行うために沿岸海水を用いた培養実験と海洋観測を行った。観測に関しては神奈川県真鶴半島沖にて昨年より行っている定期観測を継続して行った。 培養実験の結果、前年度に明らかになった従属栄養性の微生物群集の活動により海水中のコロイド粒子の含水率が増加する傾向は、微生物群集の中でも鞭毛虫類の活動に促進されることが明らかになった。この際、鞭毛虫類は粒子の生成も促進するが除去も促進するという結果が得られ、前述の傾向は生成分と除去分の差し引きの結果であることが明らかとなった。この結果は現在投稿準備中である。 また真鶴沖の観測ではコロイド粒子の総量はクロロフィルa濃度よりも細菌の生産量との間に強い相関が見られ、これらのコロイド粒子が植物プランクトンから始まる食物連鎖よりも鞭毛虫を主体とする微生物食物連鎖の過程から生成されることが明らかになった。この結果は現在投稿準備中である。 本研究で対象にしたコロイド粒子はEDTAに対する反応性の検討から、鉄などの生物群集の活動の鍵となる金属元素を吸着し易い性質を持っている可能性がしめされており、鞭毛虫類が海洋における物質循環系において重要な役割を果たす可能性を持っていることが明らかになった。
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