2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01J83204
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏木 明子 大阪大学, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大腸菌 / ネガティブフィードバック / 緑色蛍光タンパク質 / 赤色蛍光タンパク / セルソーター / 転写 |
Research Abstract |
ある遺伝子の変異体を得ると、その表現型がすべての個体で現れないことは、「ある遺伝型の低い浸透度」として知られている。そこで、同一遺伝子情報を大腸菌の表現型分化を観察するために、表現型分化が起こり出すと、細胞間の違いが増大するように2種類のネガティブフィードバック系を組み込んだプラスミドDNAで大腸菌を形質転換した。 具体的には、プロモーターAの下流にもう一方のプロモーターBからの転写を抑えるリプレッサーを導入し、プロモーターAからの転写・翻訳が起これば、プロモーターBの転写は抑えられ、ますますプロモーターAの転写が促進される。同様に、プロモーターBからの転写・翻訳の場合もその逆となる。そして、それぞれのリプレッサータンパクをコードした遺伝子の下流に緑色蛍光タンパク質遺伝子、赤色蛍光タンパク質遺伝子を導入することにより、どちらのプロモーターからの転写、翻訳が行われているかを蛍光顕微鏡観察や、セルソーターでの解析が可能となる。 上記のプラスミドDNAで形質転換した大腸菌を用いて、24時間サイクルで最少培地を用いて植え継ぎ、日々の大腸菌が示す蛍光色、蛍光強度、集団の蛍光分布パターンを蛍光顕微鏡と488nmの励起波長を持ったセルソーターで観察した。 その結果、2種類のネガティブフィードバックを組み込んだ大腸菌集団は、同じ遺伝子配列を持っているにも関わらず、異なった蛍光色、強度、集団分布を示すことが観察された。つまり、同じ遺伝子配列を持った大腸菌を用いて表現型の分化が観察された。
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