2003 Fiscal Year Annual Research Report
異なるグルタミン酸受容体を介するカルシウムシグナルの生理的意味と識別機構
Project/Area Number |
01J83802
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 正晃 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 代謝型グルタミン酸受容体 / カルシウムシグナル / ノックインマウス / 小脳プルキンエ細胞 / アゴニスト反応 |
Research Abstract |
培養細胞発現系において、代謝型グルタミン酸受容体mGluR1のGタンパク共役領域に存在する854番目のアミノ酸残基に点変異(Asp→Thr)を導入すると、受容体刺激による細胞内カルシウム応答が一過性上昇型からオシレーション(周期的増減)型へと変化する。本課題では代謝型グルタミン酸受容体を介したシグナル伝達の時空間的意義を個体レベルで解析するために、ジーンターゲティングによりmGluR1遺伝子座に上記の点変異を導入したマウス(mGluR1ノックインマウス)を作製し、その表現型の解析を行った。研究代表者らはmGluR1ノックインマウスから調製した培養プルキンエ細胞において1)mGluR1刺激による細胞内カルシウム応答はオシレーション型ではなく一過性上昇型を示すこと、2)mGluR1刺激による内向き電流は低用量のアゴニストに対する応答が消失していること、および3)内向き電流応答の脱感作が有意に軽減されていること、を明らかにした。また個体レベルの行動学的解析では4)自発行動量と運動強調機能は正常に保たれていること、を観察した。研究代表者は以上の知見を論文にまとめ投稿した。現在は、平行線維シナプスの刺激により誘発されるプルキンエ細胞の内向き電流においても同様に刺激頻度依存性と脱感作の変化が見られるかどうかを小脳スライス標本で調べている。 なお、本研究の電気生理学的解析は、金沢大学大学院医学研究科の狩野方伸教授らとの共同研究によるものである。
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