1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02041095
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 助教授 (40126157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
潘 以宏 台湾大学, 医学院・微生物学, 教授
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教授 (30192587)
石田 貴文 東京大学, 理学部, 助手 (20184533)
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Keywords | 台湾高山族 / 血液型 / ミトコンドリアDNA / HTLVー1 / リンパ球の株化 |
Research Abstract |
本研究は、2年間にわたる台湾先住少数民族の人類遺伝学的調査である。これら先住民族は、高山族(現地では山胞)と総称されているが、過去における言語・風俗の違いより、さらに9種族(プユマ族、ルカイ族、パイワン族、ブヌン族、アミ族、ヤミ族、タイヤル族、ツオウ族、サイセット族)に分類されている。この研究では、これら9族すべてを網羅した、各種遺伝マ-カ-を指標とした人類遺伝学的研究により、各種族の遺伝的特徴を明かにすると共に、高山族間の遺伝的関係さらには、他の人類集団との比較分析より高山族の遺伝的位置づけを解明することを目的としている。さらに、中国人や高山族間での混血化の進むいま、リンパ球の株化により人類遺伝学的に貴重な試料の永久保存もひとつの目的としている。 平成3年度は、台湾本島北部の3種族(タイヤル族、サイセット族、ツオウ族)の調査、研究を行なった。台北市および花蓮市を基地として本島3種族の各居住地に入り、人口学的資料および集団構造、血縁関係に関する資料を収集し、非血縁者約70人以上より、血液試料を採取した。各調査地ごとに、予備折衝、資料収集、血液試料採取に4日間を費やした。血液は、現地基地にて遠心分離操作を行い、各成分ごとにドライアイスにて凍結保存した。また、一部は血液型分析用として低温で保存した。血液試料は台湾大学での血液型分析用に一部を残し、他は日本に持ち帰り、リンパ球のセルライン化、HTLVー1ゲノムの検索を東京大学にて行なった。国立遺伝研では、PCR法によるミトコンドリアDNA相同領域の増幅を行い、アジア人に特異的な欠失の頻度を種族ごとに明らかにした。さらに、一部の個体ではミトコンドリアDN・Dル-プ領域のと塩基配列の決定を行なった。塩基配裂デ-タは、大型コンピュ-タで処理し、種族内での遺伝的変異を定量し、既にある他人種のデ-タとも併せて、系統分析を行なった。また血液型、赤血球酵素型、血清型に関しては、詳細な分析を継続している。
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