1990 Fiscal Year Annual Research Report
閉殻配置をもつ遷移金属錯体の金属ー配位子間相互作用に関する光・磁気的研究
Project/Area Number |
02044011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安積 徹 東北大学, 理学部, 教授 (90013490)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CROSBY Glenn ワシントン州立大学, 化学科, 教授
池山 剛 宮城教育大学, 助教授 (50159646)
寺嶋 正秀 京都大学, 理学部, 講師 (00188674)
前田 公憲 東北大学, 理学部, 助手 (70229300)
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Keywords | 混合配位子錯体 / 閉殻金属イオン / 三重項励起状態 / 光検出磁気共鳴 / ゼロ磁場分裂定数 / Zn / フェナントレン / チオフェノ-ル |
Research Abstract |
■電子を10個有する閉殻金属イオンである2価の亜鉛Zn(II)に1.10ーフェナントロリンと2個のチオフェノ-ルが配位した混合配位子錯体の三重項励起状態について,本年度は集中的に研究を行った。この錯体の最低励起状態は、チオフェノ-ル配位子からフェナントレン配位子への電荷移動状態であることから、太陽エネルギ-利用のための分子触媒としての可能性を秘めているという見地から、化学者の期待を集めている。しかし、励起状態に関する基礎的な研究は皆無に近く、本研究では主として、三重項スピン副準位の静的および動的性質について、光検出磁気共鳴法を用いて研究を行った。 取り扱った錯体は具体的にはZn(II)(XーPhs)_2(phen)の系列である。ここでPhSはチオフェノ-ル,Xはそのベンゼン環への置換基で、ペンタフルオロ、クロロ、メチル、メトキシの4種類を扱った。pheはフェナントロリンである。また、参照物質として、チオフェノ-ル配位子を持たないZnCl2(phen)についても実験を行った。これらの物質は、上述した配位子ー配位子間電荷移動状態と、フェナントレン配位局在、励起状態の両方から燐光を発する。この両方の発光についてゼロ磁場光検出磁気共鳴法を用い,2つの励起状態のゼロ磁場分裂を求めた。 フェナントロリン局在励起状態のゼロ磁場分裂定数および電荷移動状態のゼロ磁場分裂定数いずれも置換基の電子供与性が大きくなるにつれて小さくなることが明らかとなった。これらの実験事実は、フェナントロリン局在電子状態と電荷移動状態との混合が両状態間のエネルギ-差に支配されているという考えで統一的に理解される。更に、寿命の測定結果も同一の理論で統一的に説明されることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Shinーya Itoh: "The Exchange Interaction in the Radical Pair in 2ーPropanol Solution as Studied by the CIDNP Multiplet Pattern" Chemical Physics Letters. 170. 565-569 (1990)
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[Publications] Seiichi Yamamoto: "ZeroーField Splittings of PhenanthrolineーLocalized 3_<ππ>^* Emitting Levels in MixedーLigand Zinc(II)Complexes" Chemical Physics Letters. 174. 176-178 (1990)
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[Publications] QingーXiang Meng: "Study of the Linewidth of the CIDNPーDetected ESR Spectrum" Chemical Physics Letters. 175. 364-370 (1990)
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[Publications] Kiminori Maeda: "CIDNP and CIDEP Studies on Intramolecular Hydrogen Abstraction Reaction of PolymethyleneーLinked Xanthone and Xanthene.Determination of the Exchange Integral of the Intermediate Biradicals" The Journal of Physical Chemistry. 95. 197-204 (1991)
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[Publications] Kaoru Nozaki: "Spectroscopic and ODMR Investigations of the Lowest ππ^* and LigandーLigand Charge Transfer Excited States of Zinc(II)Mixed Ligand Complexes" Molecular Mechanisms of Electron Transfer.
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[Publications] Shigeru Ikeda: "ZeroーField Splitting of the LigandーLigand Charge Transfer Emitting Manifold of Zinc(II)Complexes" The Journal of Physical Chemistry.