1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02045005
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
高橋 恒男 山形大学, 医学部, 教授 (40004923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 達栄 上海第二医科大学, 内科, 副主任医師
張 徳中 上海第二医科大学, 内科, 副主任医師
胡 運彪 上海第二医科大学, 内科, 副教授
三沢 裕之 山形大学, 医学部附属病院, 助手 (90211581)
斎藤 秀樹 山形大学, 医学部, 助手 (70186948)
安日 新 山形大学, 医学部附属病院, 講師 (80159392)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 漢方治療 / 好中球化学発光 / 柴苓湯 / サイトカイン |
Research Abstract |
1.潰瘍性大腸炎に対する漢方特に柴苓湯の臨床効果を検討した。活動期の潰瘍性大腸炎患者を柴苓湯を単独投与した群と柴苓湯、ステロイドあるいはサラゾピリンと併用した群の2群に分け比較検討した。その結果、柴苓湯単独投与で寛解導入できた例が認められた。ステロイドとの併用群では、柴苓湯投与によりステロイドの量を減らすことができ、また寛解芳入期間が短縮された。ステロイドの減量維持療法も柴苓湯投与により速やかに行えた。以上の検討により柴苓湯の潰瘍性大腸炎に対する臨床的有用性が確認された。 2、潰瘍性大腸炎の発症、再燃と好中球、リンパ球による大腸粘膜障害の関連が示唆されているが、in vitroでこの粘膜障害を抑制する漢方製剤の効果を検討した。 (1)活動期の潰瘍性大腸炎患者の末梢好中球の化学発光(以下CL)に及ぼす柴苓湯の効果について検討した。その結果、好中球のCLは活動期に増強しているが、これを柴苓湯で処理するとCLは抑制された。 (2)潰瘍性大腸炎患者のリンパ球に対する効果は、Tリンパ球由来のリンフォカイン産生能により検討した。柴苓湯処理により、ILー2の産生増加が認められた。 (3)潰瘍性大腸炎患者の大腸粘膜由来の培養T細胞を樹立し、その免疫学的機能を解析した。その結果、培養細胞の上清はγIFN,TNF,GMーCSFの各種サイトカインを含み、かつT細胞自体も細胞性障害を有した。現在、この培養T細胞に対する漢方製剤の作用を検討中である。 以上より柴苓湯は炎症作用のみならず、潰瘍性大腸炎患者の細胞性免疫能を賦活して治療効果を発現することを明らかにした。 3、本年度は中国人医師2名を日本に招聘し、日中両国の漢方治療の異同について検討した。
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