1990 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波と放射線の子宮内複合被曝が脳の発達に及ぼす影響の実験的研究
Project/Area Number |
02202222
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 稔 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (20090425)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿座上 孝 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (40043434)
|
Keywords | マイクロ波 / 放射線 / ガンマ-線 / 子宮内被曝 / 胎児 / 大脳 / 発達 / マウス |
Research Abstract |
マイクロ波の熱作用と放射線が複合して作用した場合,単独被曝とは異なった生体影響が現れる可能性がある.本年は,マウスにマイクロ波を照射するためのアプリケ-タを設計・製作し,マウスのSAR(比吸収率)を測定した.この装置では実験者が漏洩電波に被曝する恐れは無い.50匹のSlc:ICRマウスに,マイクロ波に影響を受けないファイバ-センサ温度計をもちいてリアル・タイムで直腸温測定をしながら,体温が42.5℃になるまでマイクロ波照射を行った.体温の上昇直線とマウスの体重,比重,頭臀長,腹囲の測定値よりSAR(比吸収率)を計算した. マウス胎仔の大脳が最も高い障害感受性を示す妊娠13日の母獣に2.45GHz,0.5W(非妊娠マウスを用いて計算したSAR:134W/kg)のマイクロ波照射を3分間行い,胎仔の脳に及ぼす急性影響を検索した.この時,直腸温は42.3±1.3℃に達した.マイクロ波処理1ー12時間後に母獣を殺して胎仔の脳を採取し,一部71kdの熱ショック蛋白の検索に用い,他は組織切片にした.大脳外套脳室帯の細胞死の頻度を調べたところ,対照群の0.14%に対して照射5時間後には1.0%の増加し,生体影響が検出された.熱ショック蛋白hsp70は検出されなかった. つぎに複合被曝の実験として,マイクロ波被曝1ー12時間後にさらに0.24Gyのγ線照射を行い,γ線被曝8時間後に同様に胎仔を採取し,大脳の細胞死頻度を観察した.マイクロ波被曝1ー9時間後のγ線被曝では,γ線単独被曝による細胞死8.3%と比べ有意な差はなかったが,12時間後のγ線被曝では6.8%(p<0.05)と,わずかながら低抗性がみられた.
|
Research Products
(1 results)