1990 Fiscal Year Annual Research Report
コミュニケ-ション障害児の発連予測に関する疫学的研究
Project/Area Number |
02208108
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長沢 泰子 広島大学, 学校教育学部, 教授 (10000267)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 俊一 聖路加看護大学, 教授 (00009870)
飯高 京子 東京学芸大学, 特殊教育施設, 教授 (40014716)
森 秀子 東京都心身障害者福祉センター, 科長
山口 俊郎 兵庫教育大学, 助教授 (80158112)
後上 鉄夫 国立特殊教育総合研究所, 室長 (10225641)
|
Keywords | 発達予測 / 層別化 / 認知発達 / 言語発達 / 追跡調査 / コミュニケ-ション発達 / 発達指数 |
Research Abstract |
1.コミュニケ-ション発達チェックリスト(CLCD)を842名の7カ月〜45カ月までの幼児に実施し、コミュニケ-ション行動発達の順序性を、1982年に392名に実施した結果と比較したところ、妥当性が認められた。また事例についての詳細な検討を行ったところコミュニケ-ション発達と言語発達との間には緊密な関係が得られた。 2.東京都心身障害者福祉センタ-において蓄積されたデ-タを分析し、発語の時期を予測するためには対象児のDQによる層別化が必要であることを報告した。今回はMCC乳幼児精神発達検査でのMAが25.2〜28.2カ月で命名困難なもの36名についてA群:MA29カ月までに命名が可能となった群、B群:MA30カ月以上で命名可能となった群、C群:MA30カ月以上でも命名困難と推定とされる群に分類しA群対B群、およびB群対C群の比較検討(カイ2乗検定)したところ、前者では「長方形の構成」、「トンネル作り」、「円の大小比較」など7項目に、後者では「長方形の構成」に5%水準での有意差が認められた。 3.言語指導と獲得される言語能力との観点から予測の研究を行った。小・中学校の特殊学級に在籍する児童のうち3〜5年の発達経過の資料が揃っているもの21名のうち5名の分析をおこなった結果、一語文、二語文そして助詞を教えるという言葉のみに力点をおく指導では「赤ちゃんがお母さんを食べている」のような誤用がおきることが示唆された。 4.ダウン症児12名について0歳から3歳までの発達経過を追跡し、認知発達、言語発達とそれらの関係性の分析・類型化を試みた。両者の関係は、それぞれの事例によってかなり異なるが、共通していることは言語発達は認知発達を大きく越えることと、認知発達が同水準でも言語発達に差が生じることである。したがって、認知発達は言語発達の「必要条件ではあるが十分条件ではない」といえる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 後上 鉄夫,永峯 博,緒方 明子,長沢 泰子,山口 俊郎,山本 俊一: "コミュニケ-ション障害児の発達予測に関する疫学的研究" コミュニケ-ション障害児の診断と教育に関する研究平成2年度研究成果発表会 発表論文集. 87-88 (1991)
-
[Publications] 田中 真由美,森 秀子,長澤 泰子: "発語の獲得時期に関する決定要因の検討" コミュニケ-ション障害児の診断と教育に関する研究平成2年度研究成果発表会 発表論文集. 91-92 (1991)
-
[Publications] 飯高 京子,長崎 勤: "コミュニケ-ション障害児の言語能力の発達予測の研究ーその3 特殊学級児童の言語の発達経過ー" コミュニケ-ション障害児の診断と教育に関する研究平成2年度研究成果発表会 発表論文集. 93-94 (1991)
-
[Publications] 長崎 勤,飯高 京子: "コミュニケ-ション障害児の言語能力の発達予測の研究ーその4 認知・言語発達による0〜3歳ダウン症児の類型化の試みを通してー" コミュニケ-ション障害児の診断と教育に関する研究平成2年度研究成果発表会 発表論文集. 95-96 (1991)
-
[Publications] 飯高 京子他: "特殊学級児童の言語・コミュニケ-ション能力の発達経過について" 特殊教育研究施設報告. 38. 27-34 (1990)
-
[Publications] 飯高 京子他: "特殊学級児童の言語・コミュニケ-ション能力の発達経過について その(2)" 特殊教育研究施設報告. 39. (1991)