Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 進 名古屋大学, 文学部, 講師 (20187082)
山田 隆信 目白女子短期大学, 一般教育部, 講師 (20182537)
中村 春作 広島大学, 教育学部, 助教授 (90172402)
山泉 進 明治大学, 法学部, 教授 (10130840)
百川 敬仁 明治大学, 法学部, 教授 (20012528)
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Research Abstract |
本研究にわれわれが取り組んだのは平成2年度であった。2年目の本年度で一応のしめくくりをつけることにした。当初のつもりでは平成4年度までの3年間をかけて事を行う案もあったが,科学研究量の補助が2年間となったことにしたがい,とりあえずのまとめをつけることにしたのである。 本研究の進め方については,共同研究の会をなるべく多く設け,分担者の分担にしたがって発表された内容についてできるだけ活発な討論を交すことに目標を定めた。7月,渥美半島,田原で,9月,東京都内で,12月,神奈川県湯河原で研究合宿を行ったのはその趣旨に即したものである。成果は,別記,研究発表に見られるかたちで結晶したが,なお,いまだ公表しないものを含めて主なものは,報告書としてとりまとめる予定である。 本研究では,18,19世紀の思想潮流を,ナショナリズム,ロマンチシズム,フォ-クロアの三視角から分析することを方法的に試みた。この三項は,日本の内外を問わず,18,19世紀を特徴づける潮流であって,この三つを類型として思想空間の変動構造を詳細に見てとることが現在の倫理問題が位置づく状況を明らかにするモデルを提供する,と考えたのである。ナショナリズムの問題としては,共同体を枠づける基本枠の一つとして国家意識が定まってくる過程が,ロマンチシズムとしては,精神の故郷のようなものを模索して幻想的に過去追想に赴く心のあり方が,フォ-クロアの問題としては,現代の生活世界を基底づける枠を求めるために民俗の底に眼を向ける関心のあり方が,具体的な実相を通してかなり明らかになってきた。思想家10数名,それにさまざまな文化現象について多眼的な点検がなされた。上記三つの枠がどのような関係を複層的に備えているか,という課題が今後のもとして残されたのである。
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