1991 Fiscal Year Annual Research Report
地方教育行政における「民主性・効率性原理」に関する実証的研究
Project/Area Number |
02301039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高木 英明 京都大学, 教育学部, 教授 (30034797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 健男 名古屋大学, 教育学部, 助教授 (10168627)
上田 学 京都女子大学, 短期大学部, 教授 (60103834)
白石 裕 京都大学, 教育学部, 助教授 (50025110)
室井 修 和歌山大学, 教育学部, 教授 (20097900)
清水 俊彦 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (20031768)
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Keywords | 地方教育行政 / 教育委員会 / 民主性 / 実体的民主性 / 手続的民主性 / 効率性 / 機械的効率性 / 社会的効率性 |
Research Abstract |
戦後、わが国の教育行政はその徹底的な民主化が図られ、特に地方教育行政に関しては、民主化を進めるために公選制教育委員会や会議の公開制が採用された。しかし、実際には、さまざまな理由から、それらが定着する前に、教育委員会法は廃止され、教育委員会制度は大幅な修正を余儀なくされた。「民主性」の基本的要素であった教育委員の公選制は廃止され、会議の公開制も法律上からは消えた。 とはいえ、地方教育行政が民主主義も柱とする現行憲法の下で行われる以上、その「民主性原理」が放棄されたわけではない。依然として地方教育行政はできるだけ民主的に遂行されなければならない。と同時に、されは能率的・効率的でもなければならない。「時間・手間・人員・経費等をよく多くかかる」民主性の解保と「できるだけそれらの要因を縮小して、より大きな効果を挙げようとする」効率性への要求は、一見して、互いに矛盾し、対立しているかのように見える。 これらの「民主性」・「効率性」の両原理とも、それぞれの概念が多義的・流動的であるため、両者の関係を確定することは必ずしも容易ではないが、前者を「実体的民主性」と「手続的民主性」に整理し、後者を「機械的効率性」と「社会的効率性」に分けて考察すると、確かに「手続的民主性」と「機械的効率性」とは不可避的に矛盾し、負の相関関係=逆相関にあるものの、「手続的民主性」と「社会的効率性」とは正の相関関係に立つことが明らかになった。また、「手続的民主性」・「機械的効率性」の3者の相互関係は、複雑に絡み合っており、教育行政の在り方如何によっては、3者ともにその度合いを高めながら調和的に進めることがある程度可能であること、また地方教育行政はそれを目標にすべきであることも明らかになった。
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[Publications] 高木 英明: "地方教育行政における「民主性・効率性原理」に関する実証的研究ー研究の目的と方法,及び概念整理ー" 教育行財政研究. 18. 55-64 (1991)
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[Publications] 浅野 素雄他: "教育委員会の現状と問題点ー民主性と効率性を中心に(シンポジウム)ー" 教育行財政研究. 18. 35-54 (1991)
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[Publications] 高木 英明: "地方教育行政における「民主性・効率性原理」に関する実証的研究ー研究結果の概要と課題ー" 教育行財政研究. 19. (1992)
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[Publications] 高木 英明他: "地方教育行政論ーその「民主性」と「効率性」" 多賀出版, 400 (1993)