1991 Fiscal Year Annual Research Report
ニュ-カッスル病ウイルスの生態と病原性に関する研究
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02304030
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Research Institution | The university of Tokyo |
Principal Investigator |
見上 彪 東京大学, 農学部, 教授 (20091506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 善治 国立予防衛生研究所, 研究員 (50157252)
川喜田 正夫 東京大学, 教養学部, 教授 (00012740)
児玉 洋 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (20091449)
喜田 宏 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (10109506)
永井 美之 名古屋大学, 医学部, 教授 (20022874)
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Keywords | ニュ-カッスル病ウイルス / 膜融合(下)蛋白 / バキュロウイルス / 感染防御 / 病原性 / F蛋白前駆体 |
Research Abstract |
本研究はニュ-カッスル病ウイルス(NDV)の生態と病原性を総合的に解明することを目的とする。本年度は病原性に深く関るNDVの強毒株および弱毒株の膜融合(F)蛋白の全長あるいはC端のアンカ-部位を除いた遺伝子を組み込んだ4種の組換えバキュロウイルスを作出し、発現蛋白の性状を解析した。これらのうち強毒株由来の全長の遺伝子を発現したもののみF蛋白の前駆体がF_1とF_2サブユニットに解裂し、これらはジスルフィド結合でヘテロダイマ-を形成していた。一方、弱毒株由来のもの2種と強毒株由来でC端を除いた組換えF蛋白は前駆体のままであった。これらの組換えF蛋白は、全て糖鎖が付加され細胞表面に発現していた。発現蛋白の抗原性および免疫原性を調べたところ、強毒株由来の全長のF蛋白が免疫学的に最も優れており、これで免疫された雛は強毒株の攻撃から完全に防御された。以上の成績から、昆虫細胞内でも他の動物細胞で認められるのと同様なF蛋白の解裂が起こり、さらに発現されたF蛋白の免疫学的特性はその解裂性に依存していることが明かとなった。 次いで発育鶏卵尿液よりNDVのF蛋白前駆体を単一塩基性アミノ酸(Arg)部位で開裂し、ウイルス膜融合能と感染性を活性化する酵素(VAP)の単離精製を行い、以下の結論を得た。(1)VAPは33Kdと23Kdのサブユニットから成り、中性至適pHを示すカルシウム依存性セリンプロテア-ゼである。(2)VAPはビタミンK依存性蛋白であるプロスロンビンファミリ-と高い相同性を示し、血液凝固第十因子(FX)の活性型分子FXaそのものであった。(3)33Kdサブユニットにはプロテア-ゼ活性triadが、23Kdサブユニットにはγカルボキシグルタミン酸(Gla)残基をもつカルシウム結合ドメインが存在した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Niikura,M.etal: "Characterization of haemagglutininーneuraminidase glycoprotein of Newcastle disease virus expressed by a recombinant bacu lovirus." Virus Res.20. 31-43 (1991)
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[Publications] Nishino,Y.et al: "Analysis of the protective effect of the haemagglutininーneuraminidase protein in ivewcastle diseuse virus infection." J.Gen.Virol.72. 1187-1190 (1991)
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[Publications] Suzuki,H.etal: "Primary structure of the virus activating protease from chick embryo;its identity with the blood clotting factor Xa." FEBS Lett. 283. 281-285 (1991)
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[Publications] Ogasawara,T.etal: "Expression of the factor Xa and its significance for the determination of paramyxovirus tropism in the chick embryo" EMBO J.(1991)
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[Publications] Gotoh,B.et al: "Isolation of factor Xa from chick embryo as the amniotic endoprotease responsible for paramyxovirus activation." FEBS Lett. (1991)
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[Publications] Murakami,Y.et al: "Characterization of Newcastle disease virus fusion proteins expressed in insect cells." J.Virol.(1992)
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[Publications] 後藤 敏,永井 美之: "NDVのプロテア-ゼ依存性トロピズム免疫薬理" 7 (1991)
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[Publications] 永井 美之: "プロテア-ゼ依存性ウイルストロピズム実験医学" 羊土社, 5 (1991)