1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02305005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
糸川 嘉則 京都大学, 医学部, 教授 (80025593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 昇 高知医科大学, 助教授 (40026886)
森井 浩世 大阪市立大学, 医学部, 教授 (40046983)
矢野 秀雄 京都大学, 農学部, 教授 (20026587)
小林 昭夫 昭和大学, 医学部, 教授 (30153589)
木村 美恵子 京都大学, 医学部, 助教授 (60025658)
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Keywords | マグネシウム欠乏 / ミネラルバランス異常 / PTH / 血清マグネシウム値 / 利尿剤 / 糖尿病 / 成人病 / 尿中カルシウム / マグネシウム比 |
Research Abstract |
種々な疾病予防に及ぼすマグネシウムの役割を解明するために、基礎および臨床の両面から総合的な研究を実施している。本年度、解明された成果は以下のごとくである。ラットを用いた動物実験でマグネシウム欠乏にすると、マンガン、鉄、セレンなどの微量元素類に異常が発生することを解明した。また、高リン食によって発生する腎臓のカルシウム沈着、血液中活性型ビタミンDの減少、骨カルシウムの減少などの異常がマグネシウムを与えることにより、改善することを明らかにした。マグネシウム欠乏腎不全ラットでは低カルシウム液の還流によりPTH分泌が増加することから、マグネシウム欠乏ではPTHの作用を介して骨に影響が出ることを推察した。自然発症高血圧ラット(SHR)に高マグネシウム食を与えたところ胃腸症状が強くでたので、さらに低い濃度のマグネシウム食を与えて飼育している。緬羊を寒令に暴露すると血中カテコ-ルアミン濃度が上昇したが、血中マグネシウム濃度は種々な要因で変動した。臨床的な研究では小児肥満症、高脂血症患者の血清およびリンパ球中マグネシウム濃度を測定したが、異常は認められず、マグネシウム欠乏状態ではないようであった。シクロスポリン投与により誘発される低マグネシウム血症の病態はマグネシウムが細胞内に流入することにより発生することを解明した。成人病患者では血清マグネシウム濃度が低い症例が多く、特にサイアザイド系降圧利尿剤を投与している症例や重症の糖尿病症例で低マグネシウム血症を呈する者が多かった。また、これらの患者で尿中マグネシウム排泄量と尿中カテコラミン排泄量の間に相関関係が認められた。種々な人を対象に尿中カルシウム排泄量とマグネシウム排泄量を測定したところ、健康な人では尿中カルシウム/マグネシウムモル比が1以下のことが多く、異常所見のある人ではこの比が1以上になる確率が高いことを見いだした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 糸川 嘉則: "我が国におけるマグネシウム研究の過去,現在,未来" マグネシウム. 10. 3-6 (1991)
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[Publications] 木村 美恵子: "マグネシウム欠乏ラットの生体内ミネラルバランスに及ぼす鉄摂取量の影響" マグネシウム. 10. 19-27 (1991)
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[Publications] 西村 剛: "急激な寒冷感作がめん羊の血中マグネシウム濃度に及ぼす影響" マグネシウム. 10. 29-38 (1991)
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[Publications] Noboru Saito: "The effect of intravenous administration of magnesium chloride on blood flow of rat carotid artery." マグネシウム. 10. 193-200 (1991)
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[Publications] 二村 嘉毅: "Ca給源とミネラル出納" マグネシウム. 10. 201-210 (1991)
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[Publications] 西牟田 守: "男子陸上長距離選手を対象としたミネラルの代謝出納実験" マグネシウム. 10. 243-253 (1991)