1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02402010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
八田 一郎 名古屋大学, 工学部, 教授 (70016070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 審爾 名古屋大学, 工学部, 助手 (90190420)
加藤 知 名古屋大学, 工学部, 助手 (70177442)
大木 和夫 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80115394)
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Keywords | 脂質 / リン脂質 / 生体膜 / 構造形成 / 構造解析 / X線回折 / 小角散乱 |
Research Abstract |
研究室に本科学研究費補助金で購入したx線発生装置が設置され、いよいよ本格的な脂質膜系の構造解析実験が始められる状態になったところである。現在、水冷装置を整備し、x線の光学系を調整し、それに合った試料ホルダ-の設計の最終段階に入った。本装置を用いた脂質の構造解析の予備的実験によれば、われわれが当初予定した目標のとおり小角から広角にわたり回折線の測定ができることがわかった。また、本研究の目標の一つとして脂質の配向膜におけるx線回折実験があるが、この実験に適した配向膜試料の作成を試み、一つの有望な方法を開発した。この予備的な実験は名古屋大学超強力x線実験室で行われた。この配向膜試料の作成では、ラングミュア・ブロジェット膜の作成の場合と同じように脂質分子の炭化水素鎖部が疎水性であることを用い、これも疎水的な高分子膜の上に脂質を展開し、そのような高分子膜を重ね合わせ、全体を押さえ付け、最終的に水の蒸気圧を外から変え水和水を調節するという方法をとる。このようにして、x線回折実験でみる限り、よく配向した膜が得られることがわかった。次年度からは、これをさらに推し進め、水の蒸気圧の精密な調節、高分子膜の種類、全体への加圧方法などを検討し、安定でさらに配向性のよい膜の作成を目指す。この研究と平行して脂質膜の電子顕微鏡観察実験を行う。脂質膜の構造研究において、x線回折実験では膜の平均構造あるいは周期的構造の部分を高分解能でわかるのに対して、一方において局所構造を知ろうとすると電子顕微鏡が適している。この両者から脂質膜構造の全体像が浮かび上がってくると考えている。さらに、この系は多様な多形現象を示し一つの構造から別の構造へと転移する。これを手掛りとして、構造の微妙な変化の研究を進めることは、いままでの相転移現象の研究からみて、おおいに有望である。その観点から同じ脂質膜系において熱測定を行い、相転移の研究も合わせて行う。
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