1990 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の新しい診断ならびに治療法に関する分子細胞生物学的研究
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02404077
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
榎本 昭二 東京医科歯科大学, 歯学部, 文部教官教授 (40013940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
力丸 浩一 東京医科歯科大学, 歯学部, 文部教官助手 (40220800)
堀越 勝 東京医科歯科大学, 歯学部, 文部教官助手 (00014283)
土田 信夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 文部教官教授 (60089951)
室田 誠逸 東京医科歯科大学, 歯学部, 文部教官教授 (50072989)
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Keywords | 口腔癌 / 扁平上皮癌 / 無蛋白培地 / 骨吸収 / 血管新生抑制 / 腫瘍浸潤 / 増殖因子 |
Research Abstract |
我々が開発した完全合成無蛋白培地PF86ー1を用いた口腔癌細胞の無蛋白培養系を用い、その培養上清中に分泌された口腔癌の産生する物質についての検索を行った。 ^<45>Caで標識したマウス胎児頭頂骨の骨吸収実験系を用いて、口腔癌の産生する骨吸収促進因子の検索を行った。6種の無蛋白培養系の細胞株の培養上清には、いずれにも骨吸収活性が認められた。その1つCaPFの培養上清中に、1Lー1α、PTHrP、PDGF_<AA>が存在することを見い出した。そして6種の細胞株には、1Lー1α、1Lー1β、PTHrP、TGFーα、TGFーβ、PDGF_Achainのいずれか、あるいはすべてのmRNA発現が認められた。これより口腔癌は複数の骨吸収促進因子を産生していることがわかった。また間質構成細胞の1つである血管内皮細胞を標的としてDNA合成抑制活性を測定したところ、6種の細胞株のうち、2種の培養上清中に強い抑制活性が認められた。この活性は血管内皮細胞に特異的であり、線維芽細胞に対してはこの培養上清はDNA合成促進的に作用した。固型癌の進展に際して癌に誘導される血管新生は必須の現象であり、脈管浸潤、転移について考える上でも、癌細胞と血管内皮細胞との相互作用は、きわめて注目すべき点である。よってこの活性物質について現在その培養上清から精力的に精製、同定を進めている。現段階では、未知の物質である可能性も大きい。 口腔癌細胞の多くは細胞表面に異常に多くのEGF受容体を発現している。今回、口腔癌細胞の細胞株、切除物より採取した癌組織について検索した結果、これは遺伝子増幅だけで説明できる数の増加ではないことがわかった。 また最近では癌の転移、浸潤のメカニズムを解明するため、癌の細胞外基質に対する接着および運動性についても検討中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 立川 敬子: "口腔扁平上皮癌細胞の産生する骨吸収促進因子に関する研究" 日本口腔外科学会雑誌. 36. 1-15 (1990)
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[Publications] Kaechoong Lee,Mayumi Tanaka,et al.: "EPIDERMAL GROWTH FACTOR STIMULATES THE ANCHORAGEーINDEPENDENT GROWTH OF HUMAN SQUAMOUS CELL CARCINOMAS OVEREXPRESSING ITS RECEPTORS." BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS. 168. 905-911 (1990)
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[Publications] Koichi Rikimaru,Hitomi Toda,et al.: "GROWTH OF THE MALIGNANT AND NONMALIGNANT HUMAN SQUAMOUS CELL IN A PROTEINーFREE DEFINED MEDIUM" IN VITRO cellular & developmental biology. 26. 849-856 (1990)