1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451006
|
Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
裾分 一弘 学習院大学, 文学部, 教授 (50080370)
|
Keywords | レオナルド / イタリア・ルネサンス / 「絵画論」 / ウルビノ稿本 / 美術史 / 芸術思想史 / 年稿 / 素描・素画 |
Research Abstract |
レオナルドの「絵画論(Codex Urbinas Latinus 1270)」は、読み易い写本ではない。それは写本の書体ないし保存状態によるものではなく、専ら使用されている用語あるいは文節の意味を如何に理解するかにある。例えば、corpo ombrosoは、影の物体、影の中に置かれている物体の意ではなく、影を作る物体のことである。「絵画論」全8書を正解に読み解くことが、本研究の目的である。 平成2年度および同3年度において、申請者は本写本に現われる特殊用語に関し、ルネサンス期のイタリア語を専門とする内外の研究者の示唆や意見を得て、第1・2書を読み返し脚注を付した。他方、平成2年秋、稿本を収藏するヴアテイヤン図書館長Leonardo E.Boyle氏を訪ね、この写本のファクシミリを入手し、また、同稿本の日本での研究・翻訳の出版の許可を得た。 「ウルビノ稿本」には、部分的にオリジナルの年稿と照合可能な文節が含まれる。平成3年度において、この問題を集中的に扱い、写本・原年稿の間の照合される251項目について遂条吟味した。その成果は近く公表の予定であるが、現段階での問題点は、筆稿者による意図的な加筆・省略等の変更部分についての扱いである。 本研究の進め方として、原年稿の現存する箇所については原年稿を、また、その他の照合不能な部分に関しては、「ウルビノ稿本」を規準とせざるを得ず、この原則により全体の作業を進めている。先きに発表済みの、挿図についての照合の問題も、同様の判断によっている。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 裾分 一弘: "レオナルド「パリ年稿」M.L.D(Dは共訳)" 岩波書店, 48,57,21 (M.1989,L.1996,D.1991)
-
[Publications] 裾分 一弘: "レオナルド「パリ年稿」A(共訳)" 岩波書店, (1992)