1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451049
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
岡田 荘司 國學院大学, 文学部, 助教授 (60146735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
並木 和子 國學院大学, 日本文化研究所, 嘱託研究員
小松 馨 國學院大学, 日本文化研究所, 嘱託研究員
佐藤 眞人 國學院大学, 日本文化研究所, 嘱託研究員 (40222020)
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Keywords | 摂関院政期の祭祀 / 宮〓祭 / 権力と権威 / 権威の所在 / 官司請負制 / 白川伯王家 / 年預 |
Research Abstract |
本年度は基礎作業として1先行研究の整理 2祭祀儀礼のカ-ド化およびコンピュ-タへのインプット、3未翻刻史料の翻刻輪読を行った。その結果、以下のような知見を得た。 1先行研究はその大部分が政治形態の分析に留まり、摂関院政自体の構造解明は不十分であるこ、特に宗教・祭祀・儀礼面の分析は仏教関係を除いて全くといっていいほどなされていないが、院政の構造解明の上ではこれが必要不可欠の要素であること. 2十一世紀後半から、朝廷を中心とする貴族社会で従来みられなかった多くの祭祀儀礼が行われるようになること、それらは宮〓祭に代表されるような十世紀以前の祭祀とは性格を異にするものであること 3朝廷と院の関係については従来は政治史・政治権力の所在のみから論じられその結果から、十二世紀十三世紀においても国家の中心はやはり朝廷にあるとされる。それは妥当な見解ではあるが、祭祀・儀礼面からみると両者の関係はほぼ均衡しており女院その他権門の在在を考えるとき、権力はともかく権威の面では必ずしも朝廷の存在ばかりを評価することはできないこと 4摂関院政期は官司請負制の確立期といわれるが、これが政治実務関係諸機関ばかりでなく祭祀儀礼関係機関でもみられることが判明した。たとえば神祇官では、いわゆる白川伯王家がこの時期に成立すること、その祖顕広王は子孫に宮職を世襲させるため朝廷や院に様々な働きかけを行いそれに成功したこと、また神祇官という公の機関自体が年預に代表される白川家の家政執行者によって運営されるようになっていくことがわかった。 以上のような知見をもとに来年度は更に国制機構と祭祀の関係について研究を進める予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 岡田 荘司: "天皇祭祀と国制機構" 國學院雑誌. 91ー7. 322-347 (1990)
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[Publications] 佐藤 眞人: "大嘗祭における神仏隔離ーその変遍の通史的検討ー" 國學院雑誌. 91ー7. 362-379 (1990)
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[Publications] 佐藤 眞人: "神仏習合の諸様相" 東洋学術研究. 29ー4. 111-121 (1990)
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[Publications] 小松 馨: "四姓使小考" 大倉山論集. 27. 31-44 (1990)
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[Publications] 小松 馨: "神宮祭祀と天皇祭祀ー神宮三節祭由貴大御饌神事と神今食新嘗祭の祭祀構造ー" 國學院雑誌. 91ー7. 297-321 (1990)
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[Publications] 並木 和子: "大祓の構造と変遍" 神道学. 416. 29-49 (1990)