1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451049
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
岡田 莊司 國學院大學, 文学部, 助教授 (60146735)
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Keywords | 摂関・院政期の祭祀 / 国家と儀礼 / 伊勢祭祀と祈年祭 / 神社行幸制 / 後白河院と祭り |
Research Abstract |
第2年度目に入り、基礎作業の継続として、(1)祭祀儀礼のカ-ド化およびコンピュ-タへのインプットを進め、(2)史料の翻刻輪読を行ない、研究では、(3)摂関期から院政期へ転換する時期における祭祀制度の推移を総合的に検討し、とくに後白河院政下における祭祀制の特質について考察を試み、以下のような知見をえることができた。 (1)の祭祀儀礼のコンピュ-タへの入力作業は、十世紀の摂関時代形成期百年間を対象として、本年度でほぼ終え、この実績は項目を選定して報告に収載する予定である。 (2)は「為房御記」の輪読と「顕広王記」の翻刻作業をすすめ、院政期に入る時代の特質と院政会盛期の国制と祭祀の動向を明らかにすることに努めた。但し、この二書の講読だけでは不充分であり、その他の日記類も併行して輪読する必要性を痛感し、来年度も継続の予定.この日記による研究と併行して、平安後期に盛かんになり、現在もつづいている京都の祭礼(本年度は稲荷祭・松尾祭・祇園祭など)の実地調査を行ない、記録からだけでなく、現代の祭りの次第を通して、古代に遡るという新しい研究の方向性を模索した。京中庶民の祭礼が、院政のもとで国家的立場からどう捉えられ位置づけられていたかは、現在につづく祭りの性格を知ることによって明らかにできる部分のあることが理解できた点は本年度の重要な成果の一つである。 これらを総合して、(3)の摂関院政期の祭祀制は、神社行幸に代表される如く、天皇個人の意志にかかわる性格を有して始まるが、院政期の国家と祭祀の関係は、さらに多様性をもつようになってゆく。これは国制機能そのものの変化と院個人の祭りに対する意志が、より明確に表現され、その到達点である後白河院と祭祀の関わりに濃厚に反映してくる。次年度は後白河院政へ到る過程を埋めることで祭祀制の全体像を描く。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 岡田 莊司: "神社行幸の成立" 大倉山論集. 30. 29-58 (1991)
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[Publications] 岡田 莊司: "後白河院と神祈の世界" 後白河院. (1992)
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[Publications] 小松 馨: "伊勢神宮内外両宮の祭祀構造" 古代文化. 43ー4. 46-56 (1991)
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[Publications] 小松 馨: "院政期 公的神祇信仰の展開" 後白河院. (1992)