1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02451056
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
松沢 亜生 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・研究指導部・考古計画研究室, 室長 (50090379)
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Keywords | 石器製作技術 / 製作経過復原 / 湧別技法 / 切合関係(面関係) / 製作実験 / 割れ面の広がり / 打面準備 / 第一スポ-ル |
Research Abstract |
本年度の測定・検討の対象は、湧別技法に関わる次の資料をとりあげた。経過実験資料の割れ面測定を中心に、北海道・美利河遺跡、新道遺跡を接合関係にもとづく製作経過を分析した。 細石刄は実に細かい。測定の因難さは筆舌に尽くし難い。測定プロ-ブ先端の径は0.4mmの有効精度範囲である。細石刄の面構成の読みに必要な測定間隔はそのぎりぎりの範囲内にある。昨年度の石刄測定で、鋭い縁に対する特殊な測定用プロ-ブの開発が必要であることを感じていたが、まさにそれなくしては不可能であることを知った。したがって最終段階での細石刄剥離についてのデ-タ精度は決して満足のいくものではなかったが、それ以前の加工準備段階についての割り処理作業に関わる測定デ-タ,および接合資料からの経過復原検討を中心に行った。 美利河遺跡の検討からは、報告されている剥離経過の中で、第一段階の打面準備(第一スポ-ル)の剥離以前に小規模のスポ-ル剥離を行い、その時点ですでに細石刄を剥きとる作業に入っていたことを示す空間のあることを確認できた。また新道遺跡の接合資料の剥離経過に示される加工では、細石刄のための素材として提供される第二のグル-プの石刄と残核部分があるが、その素材を用いた細石刃の剥離状況にみる意識の違いは前年度の石刄技法の検討資料に追加できる好個の資料となるもので、予期しない成果であった。 さて製作の追試にあたり割れ面の広がりの基本デ-タがまだまだ不備であることを痛感した。似た状況を実験的に再現することはさしたる離しい問題はない。本課題の目標でもある製作復原との絡みでみるとき、割れ面の広がりが何故縦長になるのか、あるいは横長になるのか、割れ面の組み合わせ、剥り打撃の方向、量からの推測とともに、割れ面の基本構造に一歩でも踏み込めるデ-タ測定分析をさらに心がけたい。
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