1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02454074
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
諸星 紀幸 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015078)
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Keywords | カワラタケ / ラッカ-ゼIII遺伝子 / 遺伝子組換え / βーエ-テラ-ゼ / 染色体DNAライブラリ- |
Research Abstract |
本研究は木質系バイオマスの高度利用のため、遺伝子組換え手法を用いて新たな微生物を作出することを目指している。 今年度の成果の第1は、カワラタケ由来のリグニン分解酵素であるラッカ-ゼIIIの遺伝子がcDNAライブラリ-から単離され、この遺伝子断片をプロ-ブに染色体DNAライブラリ-から完全長の遺伝子の遺伝子を単離し、全塩基配列を決定した。これより、遺伝子の制御領域にはCAAT及びTATAボックスが存在し、Metから始まる2001bpから成る遺伝子断片であることが判明した。また、この中には8個のイントロンが存在し、5個のN結合性糖鎖の結合部位が明らかになった。さらに、この遺伝子から翻訳される蛋白の分子量は約6万となり、ラッカ-ゼIII蛋白分子と良い一致を示す。さらに、これに加えて担子菌カワラタケの染色体 DNAライブラリ-が初めて構築されたことは大きな成果である。 また、組換え体を作出するためにはカワラタケにおける発現ベクタ-の開発が不可欠である。そこで、カワラタケラッカ-ゼIII遺伝子のプロモ-タ-を含む遺伝子上流域と3'末端非翻訳領域を含む遺伝子断片を用い、この両者の間に制限酵素部位(EcoRVとSmaI)を導入した。このように作成したプロモ-タ-及びタ-ミネ-タ-部位をプラスミドpHN134(前年度このプラスミドを用いて外来遺伝子の導入に成功している。)に連結し、新たな発現ベクタ-(pHNLPT)を構築した。このベクタ-にリグニン分解強化遺伝子であるβーエ-テラ-ゼ(リグニンの最も大量に存在する単位間結合を切断する酵素)を組込むため、βーエ-テラ-ゼ遺伝子のSD配列近傍にEcoRV部位を導入し、βーエ-テラ-ゼ発現ベクタ-の構築に成功した。次年度は組換え体の作出と評価の検討を行う。
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