1991 Fiscal Year Annual Research Report
膠原病の病因としてのウイルス感染と癌遺伝子活性化の意義
Project/Area Number |
02454220
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
星野 孝 福井医科大学, 医学部, 教授 (50026853)
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Keywords | 膠原病 / SLE / 癌遺伝子 / 抗癌遺伝子蛋白抗体 / 抗cーmyc抗体 / 抗cーfos抗体 / EBV感染B細胞 / HLー60分化誘導 |
Research Abstract |
【目的】 吾々は前年度までの研究で、膠原病、とくにSLE発症の引き金として、EpsteinーBarrウイルス(EBV)感染の重要性を指摘した。そこで体細胞の分化増殖に関与する癌遺伝子産物と、それに対する患者血清中の抗体の存在を調べて、EBV感染より本症発症に至る過程を追求した。【方法】 各種骨髄糸未熟細胞株(HLー60,Kー562,Uー937,KGー1など)と、HLー60細胞にTPA,活性VD3などを添加培養して得た分化誘導細胞、および正常人末梢血より分離採集した成熟顆粒球と単球を指示細胞とし、これら細胞の抽出蛋白とSLE患者血清との反応をwestern blottingにより検討した。【成績】 前年度の研究で,SLE患者ではEBV感染B細胞に強くcーmyc発現が起り、血清中にcーmyc蛋白(60K)に対する抗体が見出される事実を示した。今回の検討によって、さらにSLE患者血清中には、HLー60細胞の分化に伴って出現する30K,39Kおよび55K抗原に対する抗体が存在する所見が得られた。この39K抗原の発現は、培養時間(1〜24時間)の経過と共に増大し、その最大発現時(24時間)に55K抗原が出現するという相関を示した。ポリクロ-ナルfos抗体との反応によって、HLー60細胞の55K抗原はfos産産であると示唆された。さらにTPAおよびVD3で分化誘導したHLー60細胞の55K抗原は、共通の抗原決定基をもつこと、TPA誘導細胞は、VD3誘導細胞よりもfos蛋白をより多く産生することを見出すと共に、SLE患者血清がTPA誘導55K抗原とfos抗体との反応を阻害する事実を確認し、SLE患者血清中にcーfos蛋白に対する抗体が存在する所見を明らかにした。SLE患者60例について調べた所、55K抗原に対する抗体は13例(20%)に見出されたが、健常人60例中にこの抗体は全く見出されなかった。【結語】 SLE患者血清中には、cーmyc蛋白と共にcーfos蛋白に対する抗体が存在するが、之はEBV感染B細胞における癌遺伝子の活性化、とくに転写調節因子の増強があることを示している。
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Research Products
(1 results)