1990 Fiscal Year Annual Research Report
ゴナドトロピン律動的皮下投与による低多胎発生率の排卵誘発,および黄体機能不全治療
Project/Area Number |
02454388
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
中村 幸雄 杏林大学, 医学部, 教授 (60051512)
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Keywords | 律動的皮下投与法 / 多胎発生率 / 黄体機能不全 / ゴナドトロピン療法 / 卵胞破裂機序 |
Research Abstract |
Clomiphene citrate無効第I度無月経(AmI)、多嚢胞性卵巣症候群(PCO)、第II度無月経(AmII)の重症排卵障害不妊症20人に対し、hMG律動的皮下投与法を施行した。Pergonal(LH,FSH等量を有するhMG製剤)、日研hMG(低LH含有hMG製剤)を原則として150IU/日を90分毎に律動的に皮下投与し排卵誘発を試みた。排卵率に関しては、PCOとAmIに対するhMG、日研hMGはともに症例別で100%周期別では90%前後の排卵が認められており、従来のhMG連日筋注法の成績に比しすぐれた治療効果を有していた。AmIIにおいても症例別100%、周期別87.5%と有意に高い排卵率を示していた。Progesterone(P)、Estradiol(E_2)は律動的投与周期では、自然排卵周期に比し著しい高値を示し、多数の卵胞発育と黄体形成を意味していると思われた。これは可及的経日的な経腔超音波検査によって証明されたが、排卵後もほとんどの卵胞の存在が確認され、多胎発生率が低いことと考え合わせると、発育した卵胞の多くは黄体化未破裂症候群luteinizing unruptured follicle(LUF),empty follicle syndrome,卵胞内残留ovum retention等の状態におちいっている可能性が示唆された。また、律動的皮下投与周期では黄体期に黄体機能賦活化の目的で、黄体期中期まで3〜4回hCGを投与するためshort luteal phaseの頻度は少なく、流産率も従来の連日筋注法の20%以上よりも低かった(2例(10%)3周期(12.5%)。この低流産率の原因はおそらく、多胎発生率が低い(16例18周期中ゼロ)ことも関与していると推定された。OHSS発生率は従来の筋注法と比べて差異は認められなかったが、重症例は少なかった。薬剤別では、PCOに対する日研hMG(pure FSH)でもOHSS発率は低下しなかったが、妊娠率は向上した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 中村 幸雄 他: "同一症例におけるhMG律動的皮下投与法による着床,非着床周期のホルモン動態の比較" 日本受精着床学会誌. 7. 147-150 (1990)
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[Publications] 中村 幸雄 他: "無排卵・ホルモン外来" 臨床婦人科産科. 44. 920-925 (1990)
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[Publications] Nakamura,Y.et al.: "Induction of ovulation with pulsatile subcutaneous administration of human menopausal gonadotropin in patient with polycystic ovary syndrome." Hormone Research. 33. 43-48 (1990)
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[Publications] Nakamura,Y.: "Treatment of polycystic ovary syndrome:an Overview" Hormone Research. 33. 31 (1990)
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[Publications] 中村 幸雄 他: "ゴナドトロピン療法" 産科と婦人科. 57. 400-402 (1990)
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[Publications] Nakamura,Y.et al.: "Clinical experience in the induction of ovulation and pregnancy with pulsatile subcutaneous administration of human menopausal gonadotropin:A low incidence of multiple pregnancy" Year Book of Obstetrics and Gynecology. 390 (1990)