1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02556008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 正彦 東京大学, 農学部, 教授 (60162020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真浦 正徳 山梨県蚕業試験場, 研究員
前川 秀彰 国立予防衛生研究所, 技術部, 室長
藤原 晴彦 東京大学, 理学部, 講師 (40183933)
島田 順 東京農工大学, 農学部, 助教授 (00015124)
黄色 俊一 東京農工大学, 農学部, 教授 (80015081)
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Keywords | カイコ / 生殖細胞 / 細胞移植 / 培養細胞 / 細胞融合 / 形質転換 / 遺伝子導入 / エレクトロポレ-ション |
Research Abstract |
研究は概ね計画通り遂行され,以下の結果を得た。 1.生殖細胞の移植適合性の高い品種の組合せとして,C108号を供給体にB系統を受給体に用いた場合が最適であることを確認し,この適合性が何に基因するものかについて調べた。その結果,皮膚のメラニン色素の形成と硬化に関連するmlnとso遺伝子,および性殖行動と精子の運動性に関与する遺伝子群が受給体の精細胞の競争力を低下させていることが推定された。 2.摘出した精原細胞をGraceの培養液に移し,エレクトロポレ-ションによる遺伝子導入を試みた。その結果,セルフロ-式の高圧処理では300V,3回の通電により遺伝子が細胞内に導入され,それ以上の高圧印加では細胞が精細胞に分化せず受精しなかった。導入したDNAはネオマイシン耐性遺伝子を指標にしたもので,現在,遺伝子の発現に関し解析を続けている。 3.P^<sm>系統の精細胞の染色体をパルスフィ-ルド電気泳動法により泳動し,2.5kbpの断片染色体を分離して構造を解析した。その結果,断片染色体はテロメアを有しており,in situ by bridizationによっても確認された。また,セントロメアについても分散状態が存在を確認した。 4.遺伝的致死系統lem^lの精巣を1齢時に正常系統の雌に移植し,5齢時に成熟した精巣から精原細胞を取り出してB系統に移植することにより,lem^lホモ個体の精子が正常に分化し受精することを確認した。これを用いて,lem^l遺伝子の発現機構を調べた結果,遺伝子は細胞単位で発現しホモの細胞では表皮クチクルの形成が薄く硬化が完全に起きないことと,腸腔内に多数の細胞質球を放出していることが判った。 5.同種の精細胞および異種の精細胞を融合させ,種間雑種や倍数体を作成するため,細胞融合の条件を検索した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 小林 正彦: "カイコのクロ-ン化技術" バイオインダストリ-. 8. 78-83 (1991)
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[Publications] 小林 正彦: "カイコの遺伝学の進展特集にあたって" 遺伝. 45(6). 11-12 (1991)
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[Publications] 小林 正彦: "成熟分裂と受精の突然変異・モザイクとシナンドロモルフ" 遺伝. 45(6). 14-18 (1991)
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[Publications] 黄色 俊一: "環境と行動の遺伝" 遺伝. 45(6). 36-40 (1991)
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[Publications] 藤原 晴彦: "幼虫の斑紋モザイク“まだら"と断片染色体" 遺伝. 45(6). 25-30 (1991)