1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02557113
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 卓 京都大学, 医学部, 助手 (80151900)
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Keywords | 免疫抑制剤 / ILー2受容体抗体 / リシン |
Research Abstract |
ILー2受容体抗体のうち、α,β鎖へのILー2結合を阻害する抗Tac抗体,2RーB抗体を精製し、それに植物毒であるリシンA鎖(RA)を結合させ、その効果を調べた。まず、α鎖のみ,β鎖のみ,両鎖をそれぞれ発現しているMTー1,YT2C2,ED細胞株に加えて3日後の生細胞数で、その細胞傷害能を調べた。抗体単独では効果がないが、RA抗TacはMTー1,EDの,RA・2RーBはYT2C2とED細胞の増殖を著明に(対照の20〜30%)抑制する。次に、抗Tac抗体は、単独ではαβ鎖を発現している活性化T,B細胞に対し、ILー2の低濃度域でそのDNA合成を抑制する。これに対し、2RーB抗体は、β鎖のみを発現しているNK細胞のDNA合成は抑制できるが、α,β両鎖発現細胞では全く抑制できない。しかし、抗Tac抗体と共に加えると、ほぼ完全に抑制する。RA結合抗体は、それ単独で、α,β鎖発現細胞のDNA合成を著明に抑制し、混合リンパ球培養でのDNA合成も抑制する。以上の結果からは、抗Tac単独,両抗体併用,RA結合抗体が免疫抑制剤として使用しうる可能性があると考えられた。次に、生体投与時の副作用に関連して両鎖の発現分布を調べた。α鎖は非刺激CD4(+)T細胞の一部にのみ、β鎖は非刺激CD8(+)T細胞の一部,B細胞の一部、NK細胞に発現しており、選択的免疫抑制を計る際には注意すべき点と考えられた。また、細胞株を用いた検索では、線維芽細胞や神経芽腫,神経膠芽腫由来細胞株では発現がみられなかったが、一部の顆粒球系細胞株やK562などの比較的幼若な段階の血球細胞株には、α,β鎖発現の認められるものもあり、正常造血細胞に対する影響をさらに検討する必要がある。
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