1990 Fiscal Year Annual Research Report
中間施設における登校拒否児治療教育システムの確立ー学際的(心理臨床的・時間生物学的・児童精神医学的)アプロ-チー
Project/Area Number |
02610032
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
小野 直廣 福島大学, 教育学部, 教授 (10142895)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 仁彦 福島県立医科大学, 神経精神科, 講師 (10157018)
福田 一彦 福島大学, 教育学部, 助教授 (20192726)
|
Keywords | 登校拒否 / 生体リズム / DSMーIIIR / 中間施設 |
Research Abstract |
平成2年度は当初の計画にもとづき以下のような結果を得た。1)医療現場での登校拒否児についてその実態を把握するため計30症例について調査を行った。その結果,医療現場における登校拒否児の内訳は,中学生以上25名,小学生以下5名であり,約83%が中学生以上の登校拒否児であった。小学生以下の登校拒否児はほとんどがDSMーIIIR診断AxisIの分離不安障害と診断され,中学生以上の登校拒否児は、回避性障害や適応障害と診断される症例が多かった。2)上記の医療現場における症例に対して生体リズムについての調査を行った。その結果,調査対象のうち約23%が昼夜逆転を経験,約42%がリズムの乱れを経験しており,合計すると全体の65%に生体リズムの異常が認められた。3)生体リズム障害の重症度と欠席日数の長さとの関係について検討すると,昼夜逆転のある症例で有意に欠席日数が長かった。4)登校拒否発症の学年と生体リズムの乱れとの関係を調べたところ,両者の間に統計的に有意な関係は認められなかった。5)DSMーIIIR診断のAxisIと生体リズムの乱れとの関係についても統計的に有意な関係は認められなかった。6)登校拒否症例全例について就学前の睡眠習慣について調査したが,一貫した特徴を見いだすことは出来なかった。7)以上から、登校拒否児のかなりの部分に生体リズムの障害が認められ,それが欠席日数の長さと密接な関係のあることがわかった。リズムの障害の程度が学年(年齢)や診断名と関連のないことなどから,リズムの障害は長期間の不登校の結果であると思われるが,リズムの障害が長期間の不登校の原因という逆の可能性も残されている。今後、症例数を追加し以上を明確にする予定である。 8)現在,民間のボランティアや学生諸氏の協力を得て登校拒否児のための塾を試行的に運営している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 福田 一彦: "時間生物学への発達的視点の導入について" 早稲田心理学年報. 23. (1991)
-
[Publications] 小野 直廣: "『ごんた塾』発足ー年間ー登校拒否児をめぐる治療共同体づくりー" 福島大学教育実践研究紀要. 19. (1991)
-
[Publications] 福田 一彦: "時間生物学ハンドブック 2・2・3登校拒否の生体リズム" 朝倉書店, (1991)