1990 Fiscal Year Annual Research Report
視覚と聴覚の通様相的連関に関する研究ー視覚優越の限界と注意メカニズム貢献の検討ー
Project/Area Number |
02610059
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Research Institution | 九州芸術工科大学 |
Principal Investigator |
大村 英子 九州芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (50038949)
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Keywords | 視聴覚の相互作用 / 視覚優越 / 空間的調和パラダイム / 遅延効果 / 促進効果 |
Research Abstract |
視覚と聴覚で同時に事象が生起する時、一般には、視的に提示された情報の方が選択され、視覚の優越が観察される。しかし、この事実は非常に限られた条件下で得られたものに過ぎない。本研究の目的は、視覚、聴覚両刺激の空間提示に大きな不調和を導入し、視覚優越の限界を検討し、両モダリティ-の相互作用を明らかにする事であった。 視覚及び聴覚刺激提示に2種の空間配置を設定し、両刺激とも同位置(左ー左、右ー右)に提示される場合(調和条件)と、異なる位置(左ー右、右ー左)に提示される場合(不調和条件)の下での各刺激に対する反応時間(RT)を求めた。その結果、次のことが明らかになった。 1.単純刺激に対するRTに関しては、視覚よりも聴覚のほうが60ms短かった。しかし作業の複雑さが増すにしたがって、両刺激間のRT差は減少する傾向にあった。 2.視聴覚刺激の同時提示による調和条件下でのRTは、聴覚よりも視覚の方が小さかった。この場合、聴覚は視覚に促進効果をもたらし、視覚は聴覚に遅延効果をもたらした。 3.不調和条件では、両モダリティ-は相互に遅延効果をもたらしたが、視覚による遅延効果の方が聴覚による視覚のそれよりもはるかに大きかった。 以上、視聴覚の相互作用は必ずしも相称的ではない。2つのモダリティ-には反応の切り替え時間に差があり、そのため視覚優越の可能性が示唆される。また、高次の判断を必要とするほど視覚優越が生じやすいことがわかった。空間的不調和事態での視覚優越の限界点は、現在検討中である。
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Research Products
(1 results)